Power 780では、業務アプリケーションの特徴に応じて、POWER7を「Turbo Coreモード」あるいは「Max Coreモード」の2つのモードに切り替えられる点が特徴だ。Turbo Coreモードは、データベース処理やデータ分析など、コアあたりの高い処理能力や多くのメモリが求められる際に有効なモードとなる。8コアの半分だけを稼働させ、CPUの動作周波数を増強させるとともに、1つのコアで使用できるキャッシュを倍増させる大規模共有メモリ型での利用を可能とする。また、Max Coreモードは、ウェブアプリケーションなどの一般的なアプリケーションで、高い処理能力やサーバ統合による資源の最適化を実現するためのモードとなる。CPUあたり最大32スレッドをフルに活用し、大規模並列処理型として活用できるようになる。
Power 780の価格は、最小構成の2436万8400円(税別、以下同)からとなっている。
ラックマウント型の「Power 770」は、中規模から大規模システム向けのビルディングブロックサーバ。POWER7を最大で8個搭載でき、同じコア数の従来モデルに比べて、約3分の1の価格となる。価格は1039万8000円から。また、HPC向けの「Power 755」は、論理性能は1台で844GFLOPSを実現。64台構成では、56テラFLOPSを実現するという。価格は1251万1500円。

中規模ビジネス向けの「Power 750 Express」は、省電力性に優れ、パフォーマンスあたりの消費電力を従来の約25%に削減している。前出のPower 755とともに、米環境保護局(EPA)の「ENERGY STAR」認定を、RISCベースのサーバ製品として初めて取得したという。価格は546万5100円から。

「Power 750 Expressは、4ソケットシステムでは業界最速となる。IBMerにとっても驚きのマシンであり、自信を持ってお勧めできる。実際のパフォーマンステストでは、SAPを利用する際に、他社の8ソケットシステムに比べても高い性能を実現し、同等の性能となるSun M9000では128コア、32ソケットとなる。ソフトウェアライセンスは、コアベースでのチャージになることが多いため、32コアで済むPower 750 Expressではコスト削減に直結することになる」(日本IBM理事、システム製品事業パワーシステム事業部長の高橋信氏)とした。そのほか、Sun SPARC Enterprise T2000と比較すると同等性能ながら、省電力化では95%減、設置スペースでは97%減、コア数の削減によるソフトウェアライセンス料の削減では95%減という大幅な差異化が図れるとしている。
稼働OSは、AIX、IBM i、Linux。また、HPC利用を想定しているPower 755では、AIX、Linuxとなっている。
同社では、2010年にPOWER7を最大256コア搭載したハイエンドサーバを発表する予定。また、エントリーサーバについても、2010年中に発表する計画を明らかにした。ハイエンドサーバでは、64コアである現行の「Power 595」サーバと、同等のスペースおよび電力で、256コアを利用できるようになるという。
同社では、他社製サーバやPowerシリーズ旧製品から、新たなPower Systemsへの移行を支援するための「Power Reward 移行促進0%リースプログラム」などの移行支援キャンペーンを用意。日本国内における新Powerシリーズの導入促進を図る考えだ。