クラウド化で噴出するデータセンターの課題を解決--デルが本腰入れる管理ソリューション

大河原克行 2010年02月15日 09時30分

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 デルが2009年7月より日本国内で本格的に展開している「Dell PAN System」に対し、日本のユーザーの間で徐々に評価が高まりつつあるという。

 Dell PAN Systemは、イージェネラのリソース管理ソフトウェアである「PAN Manager」のOEMを受け、デルのサーバとストレージに組み込んだソリューションだ。ハードウェアとソフトウェアをデルのキッティングセンターで組み込み、すべての結線、検証を行い、ユーザーがすぐに使用できる状態で提供する。

 イージェネラでは同様のソリューションを専用ハードウェア「Egenera BladeFrame」として提供していたが、デルはx86サーバ上で提供。Egenera BladeFrameではカバーできないようなミッドレンジサーバ、エントリーサーバ領域にもこの技術を活用できるとしているほか、EqualLogicやPowerEdgeといったデルブランドのストレージ、サーバ製品という選択肢を提供できる点に、イージェネラに対する強みがあるとしている。

 すでに日本国内では、Egenera BladeFrameを三菱東京UFJ銀行などの金融機関や、NTTデータなどが採用している。パナソニック電工インフォメーションシステムズでは、Egenera BladeFrameとともに、Dell PAN Systemを導入しており、約2万人の従業員が利用するスケジュール管理システムの運用に活用しているという。

 PAN Managerの主な特徴としては、物理的なコンピュータリソースと仮想的なコンピュータリソースの両方を1つのコンソールで統合管理することができ、プロビジョニングや高可用性、ディザスタリカバリを迅速に実現できることが挙げられている。

 「オーケストレーションといった場合にも、複数のソフトを活用する場合が多い。だが、Dell PAN Systemでは運用管理をPAN Managerというひとつのソフトウェアで実現できるのが他にない強みとなる」という。

 特にデルが強調している部分が、PAN Managerが「データセンターが抱える現在の問題点を解決するソリューションとして最適である」という点だ。

馬場健太郎氏 デル、システムズ・ソリューションズ統括本部アドバンスド・ソリューション開発本部ビジネスディペロップメントマネージャの馬場健太郎氏

 「データセンターにおいては、システムの導入および移行、中でも新規システムの立ち上げに時間がかかるという課題がある。また、すべてのミッションクリティカルな領域で仮想化が利用できないこと、システムによってメーカーごとの癖のようなものがあったり、管理が煩雑化したりする点も問題だ。さらに、運用手法が仮想化製品ごとに限定され、高度な知識を有した人材が必要になるなどインフラの運用管理に人件費がかかりすぎる、ディザスタリカバリの対応がOSやアプリケーションに依存するためコストがかかる、テストが簡単に実行できない、新たな機器への移行が難しいため設置スペースや性能あたりの消費電力の削減ができないといった数多くの問題点がある。PAN Managerを採用したDell PAN Systemによって、こうした問題が解決できるようになる」(デル、システムズ・ソリューションズ統括本部アドバンスド・ソリューション開発本部ビジネスディペロップメントマネージャの馬場健太郎氏)

 Dell PAN Systemは、CPUとメモリのみを持ち、外部I/Oは持たない「pNODE」、内部I/Oを司る「PAN Fabric」、PANのコントロールとI/Oのリダイレクトを行う「cNODE」から構成される。これにより、ハードウェアリソースを抽象化し、数分で別のOSのイメージを導入して新たなサービスに活用したり、新たなシステムのテスト環境として活用するといった使い方ができる。CPUレイヤとI/Oレイヤを物理的に分けていることから組み替えを容易にできるというメリットがあるのだという。

 「15台のサーバを導入する際には、待機用のサーバも15台導入する必要があったが、これがDell PAN Systemでは、その構成上、1台の予備機を設置すれば済むようになる。この場合、サーバは30台から、cNODEの2台を含めて18台へ。OSラインセンスは30から15へ。HBAは60ポートから40ポートへと削減できる。結果的に、5年間の総コストは1億1700万円から約4800万円へ59%削減、消費電力費用も年間85万円から40万円へと53%も削減できる。」(馬場氏)とした。

 パナソニック電工インフォメーションシステムズの導入事例では、通常5〜6人必要な運用人員を2人に、サーバ構築の時間を1日から30分間に大幅に短縮。待機サーバを削減することによるコスト削減および消費電力の大幅な削減が可能になったという。同社では、こうした実績をもとに、日本国内のユーザーに対して、Dell PAN Systemの販売強化に乗り出しており、2009年11月には、スターターパッケージとなる「Dell PAN ワンボックス・データセンター」を990万円の価格設定で提供。日本における導入の敷居を低くするための施策を展開している。「昨年7月から100社の顧客を訪問したところ、クラウド推進室が情報システム部門に設置されるなどの動きが出ており、標準化されたITインフラ基盤と、TCOの最適化、管理の簡素化が注目されている。こうしたユーザーにDell PAN Systemの提案を加速したい」という。

 デルでは、Dell PAN System販売体制の強化として、すでにDell PAN Systemの取り扱いに関するパートナー契約を結んでいる新日鉄ソリューションズと、パナソニック電工インフォメーションシステムズの2社に加えて、「現在、数社と話し合いを進めている」(馬場氏)とする。

 クラウドやデータセンターへの注目度が高まるなか、パートナーを巻き込んだ販売体制づくりがいよいよ本格化したDell PAN Systemの今後の展開が注目される。

Dell PAN System Dell PAN Systemでは、CPUレイヤとI/Oレイヤを物理的に分けることで、リソースの組み替えを容易にしている。

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