社会のあらゆるシステムを「よりスマート」に
そのほか、IBMがワールドワイドで掲げるビジョン「Smarter Planet」の事例として、前年度には国内30種類に達した実績をさらに拡大していく。「特に、金融、電気、通信、エナジー&ユーティリティ、医療の5つの分野に注力し、統一したアーキテクチャに基づき、業界ごとのビジネスニーズに即したソリューションを作り、アセット化する取り組みを加速する」とした。
さらに、「Smarter Cities」として、公共安全、交通、行政サービス、医療、教育、エネルギー、公益分野のソリューションポートフォリオを用意するほか、「Smarter Company」や「Smarter Corporate」といったテーマにも取り組む方針を明らかにした。
IBMが持つ、世界最高水準のテクノロジにフォーカスしたインテグレーションとしては、流れるデータをモニタリングして変化点を分析し、これをビジネスに活用する「Stream Computing」や、メインフレームとUnixをひとつの筐体に入れて、それぞれの強みを活用するハイブリッドシステムなどを推進する。加えて、中国やインドなどを含めた世界規模でのサービス・デリバリー・トランスフォーメーションの構築にも取り組むという。
顧客満足度向上を目指した取り組み
顧客満足度の向上に対する取り組みも進めていく。「品質」「生産性」「開発力」の3つを強化する社内横断的タスクフォースを設置し、加えて継続的に実施している「お客様満足度向上委員会」において重点課題の解決にも挑む。
新規ビジネス拡大とパートナーシップ強化では、営業部門におけるインダストリ専門能力の強化を掲げる。インダストリ別営業組織体制の拡大として、昨年は5業種、2010年1月時点で8業種としていた分類をさらに細分化し、最終的には13業種にまで拡大する計画だ。さらに業種別に顧客の成長戦略を理解し、それを支援する部門として「Industry Business Development Team(IBDT)」を強化。「お客様特化型営業部門の拡大と権限委譲を促進する」とした。
パートナービジネスについては、すでに実施した中堅中小企業向けの直販営業部門とパートナー部門との統合により、パートナーとの協業を全国規模で拡大する。この領域でも業種別展開を中心に取り組むとした。また、アライアンス事業を新設して、システムイングレーターとの協業拡大にも取り組むという。
橋本氏は「2009年の日本IBMの売上高は前年比10%減となった。グローバルでは好調な公共分野の比率が日本では低く、さらに日本の比重が高い製造業の投資が停滞しているのが影響した。2010年の前半はIT投資も厳しいだろうが、後半から上向いてくると予想している。2010年は成長していくことになるだろう」とした。