「組織」「チーム」「個人」のBIを結合するセルフサービスBI
SQL Server 2008 R2の機能面で、注目されている強化ポイントのひとつが「セルフサービスBI」だ。これは、現在2010年上半期中のリリースが予定されている「Excel 2010」との組み合わせで、エンドユーザーが社内のIT部門の力を借りずに、大量のデータを自由に加工、分析できるもの。マイクロソフト、サーバープラットフォームビジネス本部プロダクトマネージャーの松澤純氏は「セルフサービスBIにより、従業員が自分でBIを行えるようになり、IT管理者は本来の仕事にリソースを割けるようになる」と、そのメリットを説明する。
セルフサービスBIは、具体的には「SQL Server PowerPivot for Excel 2010」と呼ばれるアドインとして提供される。これは、クライアントPC側のメモリに、SQL Server Analysis Servicesで提供されるサーバ上の多次元キューブからデータを読み込み、クライアント側のExcelで他のデータソースからのデータと統合したり、加工するためのツールである。

「PowerPivot」は、その名が示すとおりExcelの分析ツールであるピボットテーブルの強化版といった位置づけになる。アドインを追加することにより、Excel 2010に「PowerPivot」のタブが表れ、データの読み込み、キューブの加工といった作業が可能だ。また、外部データの取り込みも容易に行えるよう工夫されており、取得したRSSフィードのウィザード形式によるインポートや、HTMLテーブルのコピー&ペーストによる取り込みといったこともできる。分析の結果は、「Reporting Services」を利用して表現力の高いレポートとして加工整形できる。Reporting Servicesは、地理情報を持つデータを地図データと組み合わせて表現するレポート作成機能を新たにサポート。Excelでも利用可能な「データバー」「インジケーター」「スパークライン」といったデータのビジュアライズが使えるようになり、より表現力を高めているという。
さらに作成した分析レポートは、「SQL Server PowerPivot for SharePoint 2010」と呼ばれるコンポーネントを使うことで一元管理できる。これは、個人で作成した分析レポートをSharePoint上で「ギャラリー」として共有するためのもの。個人で作成した分析レポートの容易な共有が可能なほか、システム管理者は、サーバ上にあるレポート、シートの利用状況などをダッシュボードで一元管理できる。
これらの新機能やアドインにより、組織、チーム、個人のそれぞれのレイヤでBI分析を行い、共有することを目指した「セルフサービスBI」のコンセプトを実現するとしている。
