4.技術的な問題にのみ集中する
問題の技術的な側面のみを重要視するITアナリストがあまりにも多い。そのようなアナリストは、アプリケーションを動かしたり、ネットワーク接続を高速にしたり、プリンターに印刷させたりといったことだけを考えている。確かに顧客は技術的な問題を解決したがっているが、それと同時に、実際に問題が起こり、それによって不都合が起こったということをこちらに認めさせたいのだ。もし技術的な問題だけを重視して、顧客に迷惑を掛けたということを認識し、それを相手に伝えることをしなければ、技術的な問題が解決しても顧客は満足しないままだろう。
5.「自分VS相手」という構図にはまる
問題が生じた結果、IT担当者と顧客が相手に責任を押しつけ合う敵対関係になってしまうことは非常に多い。これによって余計なストレスが生まれるだけでなく、問題解決も遅らせてしまう。顧客の問題を解決したいという気持ちに、できるだけ素早く集中すべきだ。これによって、その問題をあなたと顧客の共通の敵にすることができる。皮肉なことに、これによって顧客との間に絆が生まれる場合もある。
6.相手を主語にした表現を使いすぎる
相手を主語にした表現を使いすぎると、否定的な反応を引き出し、顧客を身構えた気持ちにさせてしまう場合がある。表現を受け身の形で言い換えるか、代わりに「私」を主語にした表現を使うことを考えるのがいいだろう。例えば、「(あなたは)文書をバックアップしていなかったんですね」(そもそもユーザーがそうすることは想定されていなかったかもしれない)という代わりに、「文書はバックアップされていなかったんですね」と言った方がよい。あるいは、「(そちらが)もう少し大きな声でお話ください」という代わりに、「(こちらが)お話が聞き取りにくいのですが」という表現を使ってみてはどうだろうか。
混乱しやすい(したがって、問題の悪化につながる)別の問題に、相手をコンピュータに擬した表現がある。「あなたにはメモリの問題があります(“You have a memory problem.”) 」と言うのではなく、「あなたのコンピュータにはメモリの問題があります(“Your computer has a memory problem.”)」とより正確に言った方がよい。
7.不適切な振る舞い
ここで言いたいのは、「その種」の振る舞いのことではない。私が言っているのは、もっと罪のない、しかしやはり問題を悪化させる可能性のあるものだ。自分の車を修理屋に持って行った時、整備スタッフがボンネットを開けて中を見て、口笛を吹いたとしよう。私の経験則では、その口笛の長さと請求書の数字の大きさには相関がある。その口笛を聞いたら、顧客は財布の中身が気になり始めることは疑いない。
同じように、顧客に対して問題について説明する際の振る舞いには、気を遣う必要がある。顧客がやるべきバックアップを怠っていたということもあるだろう。データベースは間違ったデータを入力していたということもあるだろう。髪をかきむしりたくなっても、目を白黒させたくても、あるいは単に叫びたいという場合でも、そうするのは避けるようにすべきだ。同様に、「それは本当ですか」と言ったり、イライラして「嘘でしょう?」と言ったり、車の整備スタッフのように口笛を吹いたりすることは避けるべきだ。顧客はあなたに助けを求めているのだ。間違った振る舞いをすると、相手の気持ちを逆なでしたり、怒らせてしまったり、信頼を失ったりしてしまうかもしれない。
私は、状況をオブラートに包まなくてはならないと言っているのではない。問題が深刻であれば、そう言えばいい。ただし、できるだけ分別のある態度で。