オペラ、デバッグツール「Dragonfly」をオープンソースプロジェクトに移行

文:Richard Thurston(ZDNet UK) 翻訳校正:佐藤卓、小林理子

2010-02-23 13:37

 Opera Softwareが、同社のデバッグ用ツールキット「Dragonfly」を「Bitbucket」ホスティングサービスに移行して、同社初の完全なオープンソースプロジェクトを立ち上げている。

 Dragonflyが当初からオープンソースのBSDライセンスの下で公開されていたことからわかるように、Operaによれば、当初からDragonflyを同社初のオープンソースプロジェクトにする計画だったという。しかし、Bitbucketに移行するまで、DragonflyはOperaのサーバ上でホスティングされていた。

 Dragonflyの製品マネージャーDavid Storey氏は英国時間2月22日、ZDNet UKの取材に対し、「Dragonflyはもとからオープンソースだったが、今回、これについて正規のプロジェクトが誕生した。コードは、すでに外部サーバのBitbucket.orgに置かれている」と語った。同氏はこの動きを2月10日のブログの投稿で明らかにしていた。

 Dragonflyは、DOM、CSS、ネットワーク用のインスペクタ、JavaScriptデバッガ、エラーコンソールなどで構成されており、「Opera」ブラウザのバージョン9.5以降に搭載される形で配布されている。

 Storey氏のブログによれば、OperaはDragonflyの取り組みに力を入れ、コードを書き換えてきたという。

 Storey氏は次のように記している。「現在リリースしているOpera Dragonflyで重点を置いたのは、安定性とパフォーマンスだった。そのため、機能的な新しさはさほど感じられないだろう。われわれは、強固な基盤を構築することが非常に重要だと考えた」

 これまでのアーキテクチャは、Operaのプロトコル「Scope Transport Protocol」の最新バージョン「STP/1」に置き換えられ、Dragonflyとブラウザ間の通信が向上している。Operaは、STP/1が使用できるようにDragonflyのコードを書き換えており、速度と効率性が高まったと同社は主張する。

 「基礎となるプロトコルの安定性と高いパフォーマンスを確信でき、一般向けデスクトップ製品に搭載されてリリースされるようになった今こそ、公開の「Mercurial」リポジトリにOpera Dragonflyを置くタイミングだ」とStorey氏は記している。Mercurialは、ソフトウェア開発者向けの改定版管理ツールだ。

 Dragonflyツールキットでは、Scopeプロトコルを実行するあらゆるクライアントのデバッグを実行できる。つまり、携帯電話やテレビのデバッグをエミュレータなしにデスクトップから実行できるのだ。似たようなデバッグツールには、Mozillaの「Firebug」がある。

 Storey氏は開発者に対し、Operaはオープンソースの世界に向けてまだ多少の調整を必要としていると、注意を促している。

 「これはOpera初の本格的なオープンソースプロジェクトだ。そのため、学習しなければならないことが今後出てくるだろう。クローズドソースだったという背景からくる、克服すべきハードルがいくつかある。コメントのバグトラッキングシステムがクローズドサーバで動いているといったことだ。オープンなバグトラッキングシステムに移行して、プロジェクトを独り立ちさせたいと考えている」と、Storey氏は述べる。

 Dragonflyが動作するのはOperaブラウザのみだが、OperaとしてはDragonflyを標準化して、ほかのブラウザでも動作できるようにする計画になっていると、Storey氏は述べ、「われわれは、どんなコンテンツでもすべてのブラウザで表示できるようにしたいと考えている」と結んだ。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    ChatGPTに関連する詐欺が大幅に増加、パロアルトの調査結果に見るマルウェアの現状

  2. セキュリティ

    迫るISMS新規格への移行期限--ISO/IEC27001改訂の意味と求められる対応策とは

  3. セキュリティ

    警察把握分だけで年間4000件発生、IPA10大脅威の常連「標的型攻撃」を正しく知る用語集

  4. セキュリティ

    いま製造業がランサムウェアに狙われている!その被害の実態と実施すべき対策について知る

  5. セキュリティ

    ランサムウェア攻撃に狙われる医療機関、今すぐ実践すべきセキュリティ対策とは?

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]