すべてのレイヤでの開発をつかさどるVisual Studio
マイクロソフトが言う「スリースクリーン+クラウド」の世界を実現するにあたり、その全体を構築していくためのツールが「Visual Studio」となる。
基調講演では「スクリーン側」の一角を受け持つWindows 7で、テーブルタップの消費電力量を計測し、データをAzure上に保存するデモアプリケーションや、Silverlight 4で実装されるウェブカメラ連携などのメディア機能、Sandboxモードに加えて追加されるTrustedモードによるローカルファイルへのアクセス機能などによる新たな可能性について紹介。「マイクロソフトでは開発者支援をさらに強化していく」とし、コードサンプル提供の拡大(今後3年で2000サンプル)やMSDNオンラインナビゲーションの改善、日本語技術情報提供の拡大(今後1年半で1万5000ページの技術情報を日本語化)といった開発者支援策について説明した。

そして、4月13日にローンチイベントが実施されることが決まった「Visual Studio 2010」についても、かなりの時間を割いて紹介された。マイクロソフト、デベロッパー&プラットフォーム統括本部エグゼクティブプロダクトマネージャーの近藤和彦氏は、一例として、現状の開発プロセスにおいて設計、開発、テストの各工程で問題となっている「設計が独立している」「デバッグ作業が非効率」「テスト工程で問題が再現しない」といった点を解決するために同製品が提供する新機能を順を追って紹介した。
各開発プロジェクトにおいて、設計を要件やテストの情報と関連付けて一元管理できるインターフェースが提供されるほか、デバッグ作業においては「IntelliTrace」と呼ばれる作業履歴の自動取得機能が提供される。この機能を使うことで、取得したデバッグ履歴を容易に共有し、他の開発者が再現できるようになるという。また、テスト管理用ツールである「TestManager 2010」では、新たにテストの計画、実施、追跡の状況を一元的に管理し、共有できるようになる。これにより、環境依存や伝達すべき情報の不足などによって、再現不能な問題が発生することを防げるという。
近藤氏は「Visual Studio 2010は、従来のものとは異なる、アプリケーションの新しい開発スタイルを実現するためのツールとなっている」と述べ、4月のリリースに期待するよう来場者にアピールした。