トヨタとグーグルの謝罪から学ぶ説明責任--エリック松永の英語道場(44) - (page 2)

エリック松永

2010-03-05 08:00

 以前「グローバルビジネスマンを目指す新社会人の英語道場入門3つのポイント」で申し上げましたが、グローバルの世界では「Accountability(説明責任)」という言葉を常に念頭に置かなければなりません。いろいろな考え方の人が集まるグローバルな場では、「あうんの呼吸」が通用しにくいからです。何か問題が起きた時、単に土下座して謝罪しても何の解決にもつながりません。きちんと問題の所在を明らかにし、その明確な対策と期待できる効果をきちんと示した上で謝罪しなければ、グローバルの世界では単純に無責任としか見えないのです。今回のトヨタの場合、明確な対策を示せなかったのはもちろんのこと、謝罪すらなかったことは同じ日本人として残念でなりません。

 では、2月5日の会見できちんとAccountabilityが果たせたのか、会見内容を見てみましょう。豊田章男社長の話は、以下のようなものでした(豊田社長が話した原文のまま掲載しています)。

People who drive Toyota, who cares about Toyota, I'm a little bit worried about their... while they are driving, they feel a little bit cautious. But, believe me. Toyota's car is safety, ah, and but we're try to increase our products better. So, our this, this kind of procedure is good for the customers. So please believe me, we always customer first is first priority. And I'm trying to, trying to do this work, as soon as possible and with cooperation of our employee and our supplier and the dealers.

 皆さん、どう感じましたか? 「私たちはがんばっている、だから信じてほしい」では何の説明にもなっていません。今回のリコールの根本的な原因を明確にし、さらに具体的な対策と、その実施期間を明確にしなければ、Accountability(説明責任)が果たされているとは言えないのです。土下座すれば許してもらえる風習は、グローバルでは通用しません(日本でも通用するとは思いませんが……)。

まつながみか イラスト: まつなが みか

 そういえば、鳩山由紀夫首相が米軍普天間飛行場の移転問題で米国Barack Obama大統領を説得しようと発した言葉も「Trust me」でした。今一度Accountabilityについてしっかり考え直し、基本的な考え方や態度を変革しなければ、日本の信用は回復できないでしょう。

 また、外国人記者からの質問に英語での回答を求められた時に、苦笑いしたのもいただけません。Accountabilityは態度も重要です。通常のプレゼンテーションでは思い切りユーモラスにスピーチをしていても、重大な謝罪の場では、どんなケースであれ厳然とした態度を取るべきでしょう。一瞬たりともすきを見せてはいけません。昔から個人的に気になっていたのですが、日本人は結構変な場面で砕けた態度を取ったりニヤニヤする傾向があるように思います。昔の日本の厳粛さが変な勘違いで西洋化してしまったのかもしれません。

説明責任を果たした一例

 問題のレベルは違いますが、一例として2009年1月31日にGoogleのすべての検索結果にもれなく「このサイトはコンピュータに損害を与える可能性があります」と表示された問題が起きました。この件についての謝罪は同じ日に行われました。

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