富士通は3月1日、茨城県のIT基盤「共通基盤システム」を構築、本格稼働したことを発表した。総務省地方情報化推進室が提唱する標準仕様「地域情報プラットフォーム」に準拠した共通基盤システムは、都道府県レベルでは初めてという。
共通基盤システムは、ログイン認証などの共通機能や職員データベースなどを全システムで共同で利用するための基盤になる。今後予定される情報システム再構築時に共通基盤システムと連携させて、最適化することでコスト削減やシームレスなシステム間連携が可能となり、業務効率化が図れるとしている。
今回の共通基盤システム構築では(1)「INTERCOMMUNITY21 デジタルルータ」(2)「INTERCOMMUNITY21 認証ポータル」(3)「IPKNOWLEDGE 電子決裁」(4)「IPKNOWLEDGE 文書管理」(5)「Systemwalker Centric Manager」――といった富士通製品を導入している。
(1)のINTERCOMMUNITY21 デジタルルータは、地域情報プラットフォームに準拠したパッケージ。共通基盤システムでは、複数アプリケーション間の連携基盤として活用されている。(2)のINTERCOMMUNITY21 認証ポータルは、複数の認証システムの統合やシングルサインオン(SSO)など、共通基盤システムで安全な環境を構築するための認証基盤として活用されている。
(3)のIPKNOWLEDGE 電子決裁は、回議や合議、承認、決裁などの決裁処理機能を搭載するパッケージ。(4)のIPKNOWLEDGE 文書管理は、文書の収受から起案、施行、保管保存、廃棄などの文書のライフサイクルを総合的に管理する。
(5)のSystemwalker Centric Managerは、導入設定から、監視、復旧、評価というシステム運用のライフサイクルにしたがって、ソフトウェア資源の配布、システムやネットワークの集中監視、リモートからのトラブル復旧などの機能で運用管理作業を軽減できるシステム運用管理用ミドルウェア。共通基盤システムの運用管理で活用されている。
ハードウェアとしては、ブレードサーバ「PRIMERGY BX620」をはじめとするPCサーバ「PRIMERGY」が29台導入されている。
この4月から始まる2010年度から茨城県は、現在部門ごとに調達、管理している約1000台のサーバのうち、集約に適しているものから順次、仮想化技術を活用してサーバ集約を行うことを計画している。集約化により情報システム部門でサーバを一括管理できるようになり、サーバ管理の効率化やコスト削減といった効果を見込む。
今後、既存の情報システム再構築時に共通基盤システムとの連携、サーバ集約によるIT資産の効率的活用など、クラウドコンピューティング技術を利用してシステムを最適化する予定としている。
茨城県は情報システムの全体最適化を推進、2007年に「行政情報システム全体最適化計画」を作成して、共通基盤システムの構築、メインフレームシステムのオープン化、庁内共通業務やシステムの全体最適化――というステップに分けて、情報システムの効率的活用やコスト削減を目指して改革を進めているという。
同県はこれまで、財務会計システムや給与システムなどの各情報システムを部門ごとに開発。職員のログイン認証や電子決済などの共通機能を個々に開発しており、開発の効率化やコスト削減などが課題となっていた。
地域情報プラットフォームは、サービス指向アーキテクチャ(SOA)の考え方に基づいてモジュール化された業務アプリケーションの機能やデータの仕様、業務アプリケーションを連携させるためのサービス協調技術の仕様を標準化したもの。