Smarter Planetの具現化にはパートナーの協力が不可欠--IBM SMARTER PLANET SEMINAR 2010

大川淳 2010年03月01日 20時42分

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 日本IBMは2月24日、ソフトウェア開発パートナー(ISV)向けのプライベートイベント「IBM SMARTER PLANET SEMINAR 2010」を東京箱崎の本社事業所で開催。IBMの「SMARTER PLANET」についての最新情報や、スマート化実現の重要な要素である「クラウドコンピューティング」などについて紹介した。

 基調講演では、米IBM、ISV&デベロッパー事業推進戦略、先進ビジネス部長のDave Mitchell氏が「The Smarter planet opportunity」、日本IBM執行役員クラウド・コンピューティング事業事業部長の吉崎敏文氏が「日本IBMのクラウドコンピューティングの価値と最新事例」と題した講演を行った。

Smarter Planet実現にはパートナーの役割が重要

 IBMが2009年から提唱している「Smarter Planet」は、環境、エネルギーなどをはじめとする地球規模の課題を、ITを駆使することで解決し、地球をより賢く、スマートにしていくことを目指す構想である。Mitchell氏は「Smarter Planet」を実現するための推進力になるものとして「instrumented」「interconnected」「intelligent」を挙げる。

Dave Mitchell氏 米IBM、ISV&デベロッパー事業推進戦略、先進ビジネス部長のDave Mitchell氏

 「instrumented」はさまざまなものが「計量」できることになったこと、「interconnected」は、他のものとの連携、連動を、「intelligent」は文字通り「賢いこと」を意味する。Mitchell氏は「世界中で、いろいろなものにセンサ、メータがつけられ、これまではわからなかったデータが得られる。また、インターネットの進化により、多種多様な機器、インフラまでもが相互接続可能になった。さらに、これらの相乗効果ですべてのものが賢くなっている」と指摘。これらのデータを集め、分析することで「新しい洞察力を得ることができ、その活用により、ビジネスプロセスを変えることが可能になる。これがスマートである」と話す。

 IBMは、金融、化学・石油、電機、エネルギー、公共・教育、医療・生命科学、小売・消費者向け製品、通信、運輸の9分野に焦点を当て、パートナーと手を携えて、スマートの実現に向け注力している。「肝要なのは、IBMが10種類のフレームワークを整え、これら9つの業界に提示していることだ。この点で、パートナーがたいへん重要な役割を担っている。SI事業者、再販事業者、ISVなど、彼らは各業界が求めるアプリケーションや知的資産を持ち寄ってくれる」とMitchell氏は語り、「Smarter Planet」をもたらすソリューションの実現はパートナーの力によるところが大きいことを強調、パートナーに対して一層の協力を要請した。

「クラウドは新しいビジネスの創出に意義がある」

 日本IBMの吉崎氏は、自主的な聞き取りや、調査会社による調査の結果を引用し、日本企業の方がグローバル企業より、クラウド導入に積極的な姿勢を示していることを紹介した。

吉崎敏文氏 日本IBM執行役員、クラウド・コンピューティング事業事業部長の吉崎敏文氏

 また、クラウドに期待する要素のトップ10では、日本企業が「コスト削減」が最上位であるのに対し、グローバル企業はシステムの「信頼性・稼働率の向上」「完全な従量課金制への要求」が上位だったという。さらに、グローバル企業のCIOは、競争力強化のための施策として、「セルフサービスポータル」「コラボレーション」「サービスマネジメント」への意識が高い一方、日本企業のCIOは「全社横断的な人材育成」「リスク管理、コンプライアンス」「グリーンIT」が上位にあり、際立った差異が見られるとする。

 事例としては、ある金融関連事業に携わる企業の例が挙げられた。この企業は合併により従業員数が4倍に増え、運用管理コストが拡大するとともに、求められるセキュリティレベルが高くなったという。そこで、クラウドの導入に踏み切ったところ、導入作業工程が80%削減され、統合認証とセキュリティが強化され、運用負荷は大きく低減化できたという。

 また、廃棄物処理を支援するベンチャー企業、エコマネージ・ネットワークでは、産業廃棄物処理のための共通システムをクラウド化し、複数企業間で共有可能にした。同社はこれにより、廃棄物処理事業を支援する、新たなビジネスを創造することができた。さらに、「産業廃棄物処理のプロセスはグローバルで活用できるため、アジア諸国などを視野に同社は海外進出も考えている」(吉崎氏)という。吉崎氏は「クラウドは導入企業に十分活用してもらい、新しいビジネスを作ることに意義がある」と話す。

 IBM自体も、クラウドを活用している。基礎研究所では、研究のためのIT資源をオンデマンド化し、開発コストを50万ドル削減したのをはじめ、製品開発の現場では、ソフト開発時のテスト、開発環境などをクラウド化し、設備投資を150万ドル、運営費用を100万ドル節約できたという。また、社内のIT部門では、サーバ数を4000台から2638台に減らすなど、自ら効果を実証しているという。

 吉崎氏によれば、クラウドを展開する上でのIBMの強みは、豊富な導入実績、汎用機時代から40年にわたり培ってきた仮想技術、異機種混合を可能にする技術や自動化技術の蓄積があること。さらに、クラウド検証センターを10カ所、クラウドデータセンターを9カ所保有するスケールメリットや、企業のクラウド導入へのシナリオやモデルを提供できるソリューションポートフォリオを持っていることであるという。

 吉崎氏は「この数年で、さまざまなクラウドがあふれるように登場している。クラウドは既存のビジネスを縮小させるものではなく、新規ビジネスのドライバーであるべき。クラウドを活用して、幅広い分野で、新しいビジネスが創造されたり、さまざまな業界で新たな事業モデルを編み出したりというような状況になれば良い」と述べ、2010年に、クラウドが次の段階に進むことへの期待感を示した。

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