#7:Maazben
Maazbenが登場したのはごく最近、すなわち2009年6月のことである。にもかかわらず、研究者らはこのボットネットに特別な関心を抱いている。MaazbenはプロキシベースのゾンビPCとテンプレートベースのゾンビPCを使用できる初めてのボットネットである。スパマーは、スパムメールの発信源を隠蔽しておけるため、プロキシベースのゾンビPCを好む傾向にある。しかし、プロキシベースのゾンビPCは、NATデバイスの背後にある場合には機能しないのである。
Maazbenで用いられているテクニックは有効に動作しているに違いない。このボットネットは、本記事で紹介している10個のボットネットのなかでも最も成長が著しく、ゾンビPCの数は1カ月で5%も増加している。30万台のゾンビPCを有しているMaazbenは、カジノ関連のスパムメールを1日あたり25億通もばらまいている。
#8:Xarvester(Rlsloup/Pixoliz)
XarvesterはMcColoのサービス停止後に登場したボットネットである。研究者らは、XarvesterがMcColoのサービス停止時に一部の顧客を引き継いだと考えている。また研究者らはXarvesterと、悪名高いボットネットであるSrizbiの間に数多くの類似点を見出している。なおSrizbiは、McColoのサービス停止によって影響を受けたボットネットの1つである。
現在のところ、Xarvesterは6万台のゾンビPCを有しており、1日あたり約25億通のスパムメールを送信している。こういったスパムメールには医薬品や、偽の学位証明書、偽ブランドの時計を販売するもの、あるいはロシア関連のものなどがある。
#9:Donbot(Buzus)
Donbotというボットネットには、他にはない特色がある。これは、スパムメールに仕込んだ悪意のあるリンクを隠蔽するためにURL短縮を用いる初のボットネットである。これによって、被害者がリンクを誤ってクリックする可能性を増やそうというわけだ。またDonbotは、独立して稼働する複数のネットワークに分かれており、それぞれが異なった種類のスパムを送信していると考えられている。
Donbotは10万台のゾンビPCを有しており、1日あたり8億通のスパムメールを送信している。またスパムはダイエット薬の販売から、株価操作を目的としたもの、債務の整理相談の案内など、多岐に渡っている。