日本オラクルは3月4日、業務規約から条件定義に自動的に変換して業務システムへの実装を自動化する「Oracle Policy Automation」の提供を開始したことを発表した。
法務部門やリスク管理部門での法改正に対応した審査業務での適格性判断や取引先管理の規約変更に対応した与信判定、販売部門での販売規約の変更に対応した販売活動など、規制や企業方針の変更に素早く対応することは、業務上のリスクを低減させ、全従業員が会社方針にそった一貫性ある業務を遂行するためには必要不可欠とされる。
Policy Automationを活用することで、たとえば金融商品取引法への対応の一環として投資性の高い商品販売は「顧客にリスクを説明し承諾を得る」という条文を規約に追記する場合、コールセンターや店舗などさまざまなチャネルで販売に携わる従業員が、新規約に基づく対応を素早く、間違いなく実行する仕組みを効率的に実現できるとしている。
Policy Automationは、2008年にOracleが買収したビジネスルール管理ソフト「Haley」の機能を拡充している。日本語の規約定義や事前検証などの部分で機能が強化されているという。Haleyは、政府機関や公共機関、金融サービス業、保険業など迅速に法規制対応が求められる業界を中心に豊富な導入実績を持っているとしている。
今回の製品は、自然言語で書かれた法規制や規約をルール定義体に変換して、業務システムへの実装を自動化する仕組みを提供する。規約の文章や表は、WordやExcelなどを利用して記述できることから、過去のものもルール定義体に変換して業務システムで活用できるという。
従来の規約変更に伴う業務システムへの実装は、規約内容を仕様としてまとめ、プログラム言語で静的に実装され、変更される度に開発作業が発生する。このため、規約変更から実装までに時間がかかることになる。販売やコールセンターなど複数のシステムが個別に実装されている場合、システム間で修正内容の整合性が取れていないなどの問題を抱えることにもなる。
Policy Automationの活用では、規約を管理する責任者自身が、規約の新規定義や変更を行うことができ、社内規約を1カ所に統合して、関連システムに最新の規約を配信する仕組みを提供できる。開発作業が発生せずに、常に関連システム間で規約の整合性が取れるようになっている。
また、規約上の考慮漏れや過去の規約への影響度を事前に検証するために、規約の条文間の関係を解析して視覚化するツール、規約に基づく判定をウェブブラウザから利用可能にするサンプル画面の自動作成ツールなども提供される。短時間で精度の高い規約を業務システムへ実装でき、規約変化の迅速な対応が可能になるとしている。
オラクルが提供している顧客情報管理システム(CRM)「Oracle Siebel CRM」との連携機能も搭載する。審査規定や販売規定などのルール判定がコールセンターやウェブサイトから利用でき、申請者が公共機関や店舗で販売する前に、申請内容に対する適格性を自己判断できる。
こうした機能は、顧客が窓口にきてから条件を満たさない場合の対応を低減させられるために、窓口での審査業務を効率させることに加えて、顧客自身も窓口まで来て申請できない状況を回避できることから、企業側と申請者側の双方にとって有益になると説明する。