企業というのは高度に分業化された組織だ。ある専門性を有する個人が、別の専門性を持つ個人やチームと連携する。そうした個人やチームの一連のつながり、いわゆる「コラボレーション」が一つ一つのビジネスを成立させている。
1990年代以降、企業におけるコラボレーションを支えるITは、スケジュールやドキュメントを共有するグループウェアや、コンテンツを共有するファイルサーバなどのイントラネット(社内ウェブ)などで構成された。2000年代に入ると、社内にある別々の業務システムに存在する情報を、1つの画面に一元的に表示したり、検索したりできる企業ポータル(EIP)に期待が集まった。
期待されたEIPだったが、ファイルを蓄積するための玄関口となり、やがて単なるファイルの保管場所、あるいはリンク集となったものが多かった。価値ある情報がなかなか見つからないことから使われなくなり「空っぽのポータル」などとやゆされた。欲しい情報が見つからないのだから、当然EIPをハブとしたナレッジの共有も叶わなかった。
従来型の企業ポータルでは知的労働に適応できない
「昨今、知的労働あるいは創発的働き方といわれるように、チームでコラボレーションしながら新しい価値を見出していく働き方が重要視されるようになった。果たして企業は、そうした働き方に適応できるITインフラを整備できているだろうか」と話すのは、日本オラクル、Fusion Middleware事業統括本部担当シニアマネージャーの上村靜史氏だ。
上村氏は「企業が持つビジネスアプリケーション、カスタマイズしたアプリケーションまでカバーする必要がある。新しいワークスタイルを実現するには、フロントだけがリッチというものではなく、バックエンドの業務システムまで取り込んだコラボレーション環境が重要となる」と指摘する。
新しいワークスタイルに適応するためには、グループウェアや社内ウェブ、企業ポータルだけではなく、バックエンドのビジネスアプリケーションまでをシームレスに統合したコラボレーション基盤が必要であり、「現在のところオラクルの『Oracle WebCenter Suite 11g』だけが、そのような基盤を実現している」と上村氏は言う。
では、実際にOracle WebCenter Suite 11gは、どのような価値を提供しているのだろうか。具体的な事例はあるだろうか。
次ページ以降に示すのは、製造業大手の顧客であるA社に対し、日本オラクルがPOC(Proof of concept)の前段階、いわばPOCのPOCとして作成したデモ画面である。