実際のA社の要求は、マーケティング的なダッシュボードを作ることだった。A社が提供する製品に対して、一般のコンシューマーたちがどのように評価しているのかを知る仕組み、ユーザーの声をリアルタイムに聞く仕組みを作ることにあった。
A社は、複数の業務システムを持ち、豊富なデータを持っている。そうした社内の実データと、社外のコンシューマーの生の声を取り込み、それらを組み合わせて分析したいと考えたのだ。
このデモでは、デジタルカメラを例として、価格比較サイトの「価格.com」や、写真を共有する「Flickr」を活用している。製品マスタから製品名を価格コムのサービスに投入すると、製品の最安値やユーザーによるレイティング、直近の良い評価と悪い評価などを取得することができる。また、競合する製品についても、同様のデータをサービスとして取得できる。
デモでは、これらのデータを1つの画面に統合して表示した。従来はなかなか拾うことのできなかった現在の市場価格や、ユーザーの評価などをOracle WebCenter Suite 11g上で統合。外の世界のデータと社内のデータを組み合わせて分析できるようにしたという。
また、Flickrのサービスは、製品名を投入すると、その製品で撮影された写真の枚数を返してくれる。このサービスを利用すると、製品の販売台数と写真の枚数をチャート上で時系列に比較することができる。製品の販売台数が下がったときに、ユーザーの評価がどうだったのか、競合製品の評価はどうだったのか、といったことを確認できるようにした。
さらに、ワークスペース上に表示された製品写真をクリックすると、製品に紐づいた関連情報(例えば設計書、仕様書など)を横断的に検索できるようにもなっている。
「Oracle WebCenter Suite 11gは、このようなコンポジットなアプリケーションを簡単に作成してチームで共有できる。もちろん、新たにシステムを構築する必要はなく、業務システムや社外のサービスを連携するだけでよいから、あまりコストもかからない」(上村氏)