コラボレーションの仕組み自体を競争力に
従来のポータル製品あるいはグループウェア製品をイメージしていると「ポータルなのに設備予約は付いていないの?」などと尋ねたくなる。企業ポータルも連携対象であるため、他のポータル製品と単純比較されやすいという。
「設備予約などの個別の道具、コンポーネントについては、サードパーティ製品を入れていただいて構わない。顧客にとって本当に大事なところは、業務システムとの連携、社外のデータとの連携の部分にある。Oracle WebCenter Suite 11gは既存の業務システムのところまで踏み込んだ次世代のコラボレーション基盤である点が大きく異なる」と上村氏は説明する。
先に紹介したA社では、実際には非常に高度なエコシステムをつくり上げているという。A社では外の世界のデータと突き合わせて新たな価値を見出す仕組みはもちろん、外部の情報源を獲得する方法として、ユーザー参加型の仕組みをつくり上げており、情報システム部門が一切関与することなく、ユーザーによってコンテンツがアップされていく仕組みを回すことに成功しているそうだ。
上村氏は「私が知る限り、あんなすごい仕組みを持っている会社は他にない」と話す。おそらくA社にとって、そのコラボレーションの仕組みそのものが、競争力の源泉になっているのではないかと考えられる。
さて、今後、その他の多くの日本企業においてもコラボレーションの基盤の見直しが進むのだろうか。
上村氏は「最近、推進室を設置するなどして、業務改革に積極的に取り組む企業がかなり多くなってきた。自分たちのワークスタイルを変えるためには、どのような情報基盤が必要なのか。それを情報システム部門ではない人たちが真剣に考え始めている。アプリケーションやサービスを統合する基盤を利用した、コラボレーションの高度な仕組みが求められるだろう」と話す。
既存の業務システムを生かしつつ、コストをかけずに、様々なサービスをマッシュアップして、ビジネスユーザーが必要とする情報をリアルタイムに提供し共有できる。そうした情報基盤を作り出し、日々の業務に根付かせることができる会社こそが、リアルタイム化の進むビジネス状況の中で、大きくプレゼンスを高めていけるのではないだろうか。
