薬物犯罪よりもサイバー犯罪の方が収益高い
現在、インターネット上のリスクは増加の一途をたどっている。シマンテックによれば、2008年は1カ月あたり2億4500万のマルウェアの攻撃が検知され、そのうち90%が個人情報を狙ったもの。特にウェブサイトを見ただけで攻撃されるドライブバイダウンロードが急増しているという。
こうした攻撃が増えているのは、「もちろん大金が得られるから」だ。米国家安全保障局(NSA)の報告では、米国では薬物犯罪よりもサイバー犯罪の収益が高くなったそうだ。これは薬物犯罪よりも「単純で安全で、簡単に金が得られる」ためで、「日本でもインターネット犯罪に移行してきている」と指摘する。
こうした攻撃の95%は家庭をターゲットにしており、国内でも攻撃が増えているという。そのため、セキュリティの重要性を理解し、最新版のウイルス対策ソフトを利用して更新を行い、定期的にチェックする必要があるとする。
さらに、インターネット犯罪から身を守るためには、初対面の人や知らない人の話には警戒心を持つ、だまされた人の話を自分の身にも起こりうることとして注意を払う注意深さを持つ、といった考え方も重要だという。県民性調査では、こうした点から奈良県民は「インターネットの被害者となりにくい」という。
これに対して、香川県民と秋田県民は、電子メールで送られたダイレクトメールを開けてしまう、見知らぬ人からのSNSの友だちリクエストを承諾するといった傾向がほかの県民よりも高く、セキュリティ対策製品の導入率も全国平均より低かったそうだ。
こうした県民性による違いを紹介しつつ、Freer氏は「インターネットのリスクが周知されていない」点を指摘。「いきなり路上でクレジットカード情報を教えてくれといわれても誰も教えない。しかし、SNSの勧誘だとユーザーは割と簡単に名前や住所などを入力してしまう」と述べ、リスクに対する啓発が不十分なのだと話す。
セキュリティ対策製品を作るシマンテックだが、啓発は「我々だけがやればいいと言うわけではない」として、政府機関とも協力して、インターネットのセキュリティ向上や啓発活動に力を入れていく考えを示している。