コンサルティング企業のレイヤーズ・コンサルティングは3月15日、国際会計基準(IFRS)に完全対応するという連結会計パッケージ「JIN〜仁」(ジンツー)を3月23日から販売することを発表した。金融機関向けにシステムコンサルティングなどを手掛ける情報企画と共同で開発した。
早ければ2015年3月期での強制適用が始まると見込まれているIFRS適用は“アドプション(適用)”と呼ばれるが、2015年以前にも日本基準をIFRSに近づけるための“コンバージェンス(収斂)”が展開されている。JIN〜仁は、コンバージェンスとアドプションの両方に対応するという。
IFRSは連結財務諸表に適用されるものだが、問題となるのが、グループの子会社でどのように対応すべきかということだ。その選択肢の一つとして、決算作成を親会社で集中して行うというものがある。
JIN〜仁は、子会社での対応が難しく親会社で集約して行うケースに対して、ユーザー企業が自ら独自に設定できる自動仕訳機能やコンバージェンス対応テンプレートを搭載する。こうした工夫でIFRSで必要となる修正仕訳を可能な限り自動化する。子会社が行った各社の基準で決算処理を、親会社側でIFRSに修正する際の負荷を軽減できるとしている。
このほかにもIFRSで求められている包括利益開示やマネジメントアプローチに基づいたセグメント情報開示、過年度遡及修正、廃止事業開示などにも標準で対応するという。レイヤーズでは、IFRSの変更や決定にあわせ、IFRSや会計処理、経理業務に関する専門的知見や支援実績、そしてコンサルティングノウハウをもとに、連結決算業務に必要な機能を明確にして開発改修に随時反映、IFRSに完全対応していくとしている。
レイヤーズはこれまでの会計処理や経理実務での専門的知見や業務効率化ノウハウをもとに、JIN〜仁では、「使い勝手の良さ」を追求。多様なデータ収集方式と自動チェックで、現行の子会社の会計システムにほとんど手を加えずに効率的にデータ収集ができるとしている。
また、データ収集、連結処理の進捗状況を一元的に管理するナビゲータ機能、標準的な定型仕訳に加えてユーザーが自由に追加で設定できる自動仕訳機能、連結処理過程の詳細表示や承認、ログ管理など、今まで機能としてありながら利用度の低かったものを工夫している。「ユーザーが本当に使える機能にすることで連結決算業務の早期化、効率化ができる」と説明している。
JIN〜仁では、実績データだけでなく予算や計画データの収集、一元管理もできるようになっており、連結予算の作成から予実比較、業績着地見込みの作成、業績シミュレーションなど管理会計の要件にも標準で対応していることで、経営企画部門にも十分活用できるとしている。
レイヤーズはJIN〜仁の特徴として取引明細を見られることも挙げている。残高情報に加えて、子会社の取引明細情報を取り込み、一元管理できるという。
経営層や本社は子会社に問い合わせることなく、子会社の業績やリスクを自ら把握して、監視でき、迅速なグループ経営ができるとしている。たとえば、不良在庫の発見、長期滞留債権や大幅な値引き取引の抽出、不正取引につながるような不自然な取引の増加といった子会社の取引実態を把握できるという。
また、連結決算で重荷となる会社間消去に対しても、照合差額に対する取引を明細までさかのぼることで、差異の原因を究明して、修正仕訳をその場で入力できるという。
JIN〜仁ではリアルタイムに連結処理が可能だと同社は説明する。たとえば、期中から子会社の取引明細を収集して、随時グループ内の取引は消去仕訳を自動生成させることで自動的にグループ内の期中照合を展開できる。そうした情報を子会社各社にフィードバックさせて、期末を待たずにグループ内取引の期中照合、差異を把握して、処理の間違いを見つけた場合は随時修正が可能。業務の平準化や連結決算業務の早期化を実現するという。