グローバルと日本で異なるのが、グローバルで「サーバ仮想化」を挙げているのに対し、日本では「データアーカイビング」を挙げているということだ。サーバ仮想化は、日本でもグローバルでも大きく進展しているが、アプリケーションの種類で見てみると、日本がグローバルよりも仮想化を進めていることが調査ではっきりしている。
たとえば、ウェブアプリケーションは日本もグローバルも70%近くが仮想環境で稼働しているが、統合基幹業務システム(ERP)や顧客情報管理システム(CRM)などのエンタープライズアプリケーションを見ると、日本は57%が仮想環境で稼働しているのに対して、グローバルは49%となっている。また、販売や取引などのトランザクション処理の仮想化では、日本が39%に対して、グローバルは28%となっている。
サーバ仮想化という点では、意外にも日本の方が進んでいるとも言えるかもしれない。この状況について朝倉氏は「サーバの仮想化は成熟していると言えるかもしれない。関心は、仮想環境でのアベイラビリティ(可用性)に移りつつある」と説明している。グローバルで重要項目にサーバ仮想化が挙げられているのは、もっとサーバ仮想化を進めて、企業システムの全体最適化を図ろうという意識の表れと見ることができるだろう。
その一方で日本の場合、データアーカイビングを重要視している。このデータアーカイビングは、バックアップとは異なり、データや文書、メールといったものを、当局から要請されたら即座に提出できるような仕組みだ。
たとえば米国の場合、そうしたデジタル形式の文書に法的価値が認められており「eディスカバリー」(電子証拠開示)といって、裁判所の要請があった場合に即座に提出する仕組みがある。対応できない場合は、法的に罰せられることになっている。日本でデータアーカイビングを重要視しているのは、そうした仕組みをまだ構築できていないということの表れととらえることができる。