単なる電子帳票化では紙と変わらない
これで判読しやすく、入力支援も得られ、紙の介在もなくなった。組織が電子帳票化をめざす最初の理由はここにある。しかし、これで帳票をめぐるトピックスがすべて終わったわけではない。むしろ、これをきっかけに検討を要するようになったテーマがたくさんある。
その一つが流通である。電子帳票を企業内外に流通させる最初の方法は、たぶん電子メールだ。どこからか電子帳票のフォームを入手して、入力して、担当部門あるいは取引先企業に送信する。自席ですべて完結するので、一見業務が効率化されたように見える。しかし、ただ電子帳票化しただけだと紙の時代と変わらない問題を抱える場合もある。
それは、回覧プロセスが見えず、見えないために時間がかかるという点だ。帳票はたいてい承認を必要とする。途中の承認者が他の業務で忙しい管理職だったら、処理がここで滞ってしまう。紙の時代には山積みの未決箱によりストップしている個所がわかりやすかったものだが、プロセスがコンピュータの中へ入ってしまったために、わかりにくくなった。起票者が自分の提出した電子帳票の所在を知りたいときは、上司や関係部門にあらためて尋ね回らなければならないという問題があるのだ。
ワークフロー化で電子帳票のメリットが生きてくる
そこで浮上するのが、ワークフローシステムだ。作成した電子帳票をそこに載せることで、あらかじめ設定されたワークフロープロセスへ自動的に送ることができ、ルールに基づいた承認行為が行え、最新のフロー状況を自席で確認できる。しかも、ワークフローの履歴から、承認ルートは適切か、平均処理時間はどれぐらいか、もっと短縮するにはどうしたらいいか、ボトルネックになりがちな承認者は誰か、といった詳細分析も行える。
これで名実とともに効率化が実現する。あなたの会社の誰かが、“フォームはここから取って、送るときにはこのシステムから送って”とうるさくいっても面倒くさがらず、裏にはそういう意味があると思って従ってほしい。