IT業界で過激な発言といえば、この人も忘れてはけない大物です。Oracleの創始者でCEOのLarry Ellison氏。彼もOracle OpenWorld 2009のスピーチで、クラウドコンピューティングの加熱振りに対し、こんな発言をしていました。
The interesting thing about cloud computing is that we've redefined cloud computing to include everything that we already do. I can't think of anything that isn't cloud computing with all of these announcements. The computer industry is the only industry that is more fashion-driven than women's fashion. Maybe I'm an idiot, but I have no idea what anyone is talking about. What is it? It's complete gibberish. It's insane. When is this idiocy going to stop?
「I can't think of anything that isn't cloud computing with all of these announcements」(発表されているものでクラウドじゃないものが思いつかない)という遠回しな表現は、相手にインパクトを与えます。「猫もしゃくしもクラウドコンピューティングじゃないか!」という嫌みを含んだ面白い表現ですね。また、コンピュータ業界を皮肉って「more fashion-driven than women's fashion」(女性ファッション業界より流行に流される業界だ)としているところも、通常であれば一番流行に敏感だと思われる女性ファッション業界を比較対象に出すことで、より強く流行感を強調しています。
このスピーチでは少し嫌味っぽい表現が多く、「Maybe I'm an idiot」の部分でも、自分がバカなのかと遠まわしに非難のニュアンスを強めています。また、使う単語も「idiot」(まぬけ、バカ)「gibberish」(チンプンカンプン)と、インパクトのある単語が登場します。覚えておくと意外な所で役立ちそうですね。
しかし、勘違いしないで下さい。このような過激な発言をする人達は、非難するだけのメッセージを持っています。Accountabilityの精神はここでも無関係ではないのです。過激な非難の後には、より正確で自信に満ちた根拠が語られますから、この非難は前哨戦に過ぎないのです。時に、過激な部分だけがクローズアップされがちですが、こういった発言の後に彼らがどんなメッセージを伝えてくるのかに注目するのがエリック流。本当に注目すべきは過激な発言の次に来るメッセージなのです。
こういうインタビューやスピーチの言い回しは、英会話教室では絶対に教えてくれません。これを機会に気をつけて過激発言をチェックするようにすると、英語への親密感が増してモチベーションアップにつながりますよ。
Peace out,
Eric Matsunaga

筆者紹介
エリック松永(Eric Matsunaga)
Berklee College of Music、青山学院大学大学院国際政治経済学研究科(修士)卒業。19世紀の米国二大発明家Graham Bellを起源に持つ米国最大の通信会社AT&Tにて、先進的なネットワークコンサルティングの領域を開拓。その後アクセンチュアにて、通信分野を柱に、エンターテインメントと通信を活用した新事業のコンサルティングをグローバルレベルで展開する。現在、通信業界を対象にした経営コンサルタントとして活躍中。著書に「クラウドコンピューティングの幻想」(技術評論社)がある。
イラストレーター: まつなが みか
つぶやく日本人や音楽にまつわる「人」のイラストを描く。CDジャケット、ショップ、雑誌等で活動中。エリック松永の愚妹。