ナレッジのあり方を変えてワークスタイルを変革した企業の実例を見る - (page 3)

富永康信(ロビンソン)

2010-03-22 15:00

 従来は、製品の品質を担保するために、ノウハウをマニュアルや作業要領書などにまとめて管理共有するシステムや、eラーニング的な教育ツールの活用も試みたが、文書作成に時間がかかるうえ、細かな部分がなかなかうまく指導できないという課題を抱えていたという。

 また、部品を置く場所や方向、手の動かし方といった細かい指示には文章より動画が適していると考え、手順を撮影した映像をCDやDVDに納めて工場に配布したが、映像が閲覧されるまでにタイムラグがあり、一方的に映像を視聴するだけというスタイルが不評であまり利用されることがなかったという。

 そこで同社は、エビリーの提供する社内動画共有システム「IntraKaKiKo(イントラカキコ)」を採用した。これは動画共有に加えて、動画上に文字や図形、リンクなどを書き込めるイントラネット内の利用を想定したサーバパッケージである。ブラウザさえあればいつでもどこでも、投稿、閲覧、書き込みが可能というものだ。

 これにより、ネットワーク上の動画共有で格段に情報伝達が早くなると同時に、動画上へリアルタイムに疑問や意見を書き加える事が可能になったので、動画を見た海外工場の現場技術者からは「分かりにくい」とか「もっと左から」などの具体的なフィードバックが寄せられたり、現地の若手作業者の映像に対し、日本にいるベテラン技術者が動画上に注釈や解説を書き加えたりといった新たなコミュニケーションや気付きが生まれたという。

IntraKaKiKo 従来のプレゼンテーション作成ツールでは、作成者が動画に解説などを入れて配布する形だが、「IntraKaKiKo」では閲覧者も解説を入れることができ、作成者と閲覧者の間で協調、協力関係を作ることができる(出典:エビリーのウェブサイトより)

 Web2.0でいうところの「ワイガヤ」、つまり参加型の知識交換や情報流通でリアルタイムなナレッジマネジメントが図られた好例だろう。

すでに始まっている社内Twitterの活用

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