プラハに拠点を置くアンチウイルス企業のAvastによれば、人気アプリケーションのセキュリティホールを突くマルウェアは、YahooやFox、Googleなどの企業が運営する大規模な広告配信プラットフォームによって拡散されているという。
2009年、The New York TimesやニュースアグリゲーターであるDrudge Report.comのような知名度の高いサイトで、広告内にウイルスなどのマルウェアが潜んでいることが発見された。そして、2010年には、DrudgeやTechCrunch、WhitePages.comでも同様の問題が発生している。この手法は「malvertising」と呼ばれる。
こうした事態を受けて、Avastの研究者たちは、合わせてオンライン広告の50%以上をカバーしているYahooの「Yield Manager」とFox Audience Networkの「Fimserve.com」、そしてそれほど規模は大きくないGoogleの「DoubleClick」を含むいくつかの大規模広告配信プラットフォームを非難している。さらに、悪意ある広告の一部がYahooやGoogleのサイトに表示されたこともある、とAvastは主張している。
「小規模な企業だけでなく、GoogleやYahooと関係のある広告配信サーバまでもが感染し、有害な広告の配信に利用されている」とAvastの広報担当マネージャーであるLyle Frink氏は述べた。
被害が最も大きい広告配信プラットフォームはYield ManagerとFimserveだったが、Myspaceを含むいくつかの小規模広告システムもスケールは小さいもののマルウェアを配信していることが分かった、とAvast Virus Labsは話す。
これらのネットワークから配信される広告には、Avastが「JS:Prontexi」と呼ぶJavaScriptコードが埋め込まれていることが分かっている。Avastの研究者であるJiri Sejtko氏によれば、JS:Prontexiは「Windows」OSを標的とするスクリプト形式のトロイの木馬だという。JS:Prontexiは「Adobe Reader」や「Acrobat」「Java」「QuickTime」「Flash」の脆弱性を探し、偽のアンチウイルス警告を表示する、とSejtko氏は話した。
ユーザーは何もクリックしなくても感染の被害に遭う。ブラウザが広告を読み込んだ後、コンピュータは感染する、とAvast氏は述べた。
2009年12年にこうしたマルウェアが広がり始めて以降、Avastは顧客のコンピュータ上で260万件以上を検出している。そのうち、53万件近くはYield Managerから配信されたもので、1万6300件以上はDoubleClickから配信されたものだった、とSejtko氏は話した。
「JS:Prontexiの配信元にGoogleが占める割合は非常に小さい。そして、同社が事態の改善に取り組み始めたことで、その割合はさらに目に見えて小さくなっている」とSejtko氏は言う。「これはYahooとFoxには当てはまらない」(Sejtko氏)
FoxおよびMySpaceの関係者はコメントを控えた。
Yahooの関係者はこの報告書の内容が事実であることを認め、状況を調査中であると話したが、詳しい情報は提供しなかった。「われわれは問題になっている広告の存在を確認しており、現在、弊社のシステム内でそれらを無効にする取り組みを行っているところだ」とYahooは声明の中で述べた。
Googleの広報担当者によれば、同社はDoubleClickが配信した広告にマルウェアが含まれていることを独自に発見し、配信を停止したという。「この事例では、同日に問題となっている広告のいくつかを停止したが、このことはAvastの今回の報告書とは無関係だ」と同広報担当者は話した。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。 原文へ