新日鉄ソリューションズ(NSSOL)は4月8日、アイルランドのNorkom Technologiesとアンチマネーロンダリング(AML)や金融犯罪防止、コンプライアンス対策などのソリューションを国内の金融機関に向けて提供するにあたり、共同でマーケティング活動などを行うことで合意したことを発表した。
Norkomのソリューションは世界で100社以上に採用されており、金融機関での犯罪対策分野において世界的なベンダーであるという。その導入先の中には、CitigroupやBank of America、HSBC、Credit Agricole、Royal Bank of Scotland、Banko Santander、Deutsche Bankなど、世界トップレベルの金融機関7行が含まれているとしている。
同ソリューションは、顧客管理や顧客デューディリジェンス、振り込め詐欺にも対応したシナリオによる取引監視、多チャネル不正監視、制裁先およびPEPs(Politically Exposed Persons)スクリーニングなどが可能。また、Enterprise Investigation Management(統合的不正調査マネジメント)により、単なるケースマネジメントだけでなく組織にまたがるすべての不正調査を管理する機能を持つ。さらにこれらの機能を、必要とする構成を組み合わせて導入することにより、AML、金融犯罪、コンプライアンス対応プログラムを段階的に構築でき、最終的にはひとつのプラットフォーム上ですべての対策が実行できるとしている。
NSSOLは、主力分野である経営管理やリスク管理ソリューションを中心に、これまで60行以上にシステム導入を行ってきた。AML、金融犯罪防止、コンプライアンス対策ソリューション分野においても、両社がそれぞれの経験を通じて培った業務知見やコンサルティング能力とシステム構築力を基に、金融機関における効果的で効率的な金融犯罪対策の構築をサポートするとしている。
2008年3月に行われたFinancial Action Task Force(FATF、金融活動作業部会)による対日相互審査において、日本のAML対策は厳しい評価を受け、2010年10月にはFATF全体会合での当該勧告の改善状況について報告が義務付けられている。そのため、今後国内では改善報告に向けた法令および運用面での規制強化の動きが予想されている。一方、各金融機関においては、マネーロンダリングだけでなく、振り込め詐欺等の口座の不正利用による犯罪に対する対策も、単なる一過性の規制対応ではなく、重要な経営課題として、リスク管理上の継続的な改善の枠組みとして取り組むことが求められているという。
今後NSSOLは、ソリューションの紹介によるマーケティング活動のほか、パッケージの日本語化にも取り組み、6月を目途に日本語版パッケージを投入する予定だ。同社では、ソリューション関連の売上合計で、初年度に1億円、3年間で約5億円程度を目指すとしている。