世界戦略のなかでの日本の役割と戦略は?
Hamish:日本では非常に洗練された形でSCMを利用している企業が少なくありません。しかし、日本市場にはまだまだ多くのビジネスチャンスがあると考えています。アジア地域だけを見ても、中国や韓国の企業は価格競争力に優れています。日本企業――特に製造業――は、時代の変化を認識してベストプラクティスに追いついていくことが重要だといえるでしょう。日本企業にとっては、どれだけ早く変化に適応していくか、競合に追いつき、追い越すにはどんな選択をすれば良いか、これらが大きな課題といえるでしょう。

JDAソフトウェア・ジャパン代表取締役社長 鈴木洋史氏:日本の製造業は、大変先進的な取り組みをしている例もあるのですが、ものづくりへの意識が強すぎる傾向があります。プロセスという視点でいえば、大手であってもエンドトゥエンドの支援がやや遅れている面もあるのです。JDA Softwareは、技術だけでなく、プロセスの支援も提供していくことができます。
また、i2 Technologiesを統合したため、ディスクリート型製造業の市場向けにSCMを展開できるようになりました。もちろん、JDA Softwareの強みである小売業やプロセス型製造業向けにも、引き続き提案していきます。また、需要予測などを用いて最適な時期や価格を設定し、顧客層を適切に絞って利益を最大化する手法「Revenue Management」を、日本の航空、鉄道、ホテルなどのサービス業向けに提供するプロジェクトを始動させています。そのような、製造業や小売業以外の領域にも注力していきたいと考えています。Revenue Managementは、JDA Softwareがグローバルで非常に強みを持つ分野です。
McNulty:i2 Technologiesを買収したこともあり、日本ではオフィスも拡大する予定です。日本はSCMに対する発想も先進的ですから、事業規模を20%程度拡大する計画があります。日本市場での成長は可能性が大きいとみています。
SCMにすべてを賭けている
この数年、SAPやOracleなども多数の企業を買収してSCM分野を拡充している。彼らとはどう戦うのか?
Hamish:彼らにとってのSCMは、事業のうちのほんの一部に過ぎません。しかし、我々JDA Softwareは朝から晩までずっとSCMを考えているのです。SCMにフォーカスして専門知識を蓄え、ソリューションを考案し、SCMにすべてを賭けているのです。そのため、より高い価値と技術革新を生み出せると信じています。
今後いっそう重要になると思われるのは、リアルタイム性ではないだろうか?
Hamish:我々の提供するSCMは、顧客のリアルタイムな意思決定を支援するソリューション。このソリューションはアーキテクチャの面でもスケーラビリティが高く、複雑なシステムにも対応できる。リアルタイム性こそ、JDA Softwareが提供する価値だといえます。