医療データをセキュアに格納、縦横分析を実現した日本医療データセンター

2010-04-22 12:00

 日本ネティーザが開催した「失敗しないデータウェアハウスの選び方」のセッション3では、医療分野の事例が紹介された。

 登壇したのは日本医療データセンター インフォメーション・マーケティング部 部長 林哲氏。日本ネティーザ 執行役員 技術本部長 法華津誠氏の質問に答える形式でセッションは進んだ。

医療情報の多角的な分析を実現したデータウェアハウス

 日本医療データセンター(JMDC)は、レセプト(診療報酬明細書)などの医療データを標準化し、そのデータを医薬・医療機器関連企業、研究機関、健康保険組合などに提供。新たな医療技術や新薬の開発、保険事業を支援するサービス事業を展開しており、2008年春に日本ネティーザのデータウェアハウス(DWH)アプライアンスを導入し、医療データ分析サービスに活用している。

日本医療データセンター
インフォメーション・マーケティング部 部長 林哲氏

 JMDCは2003年にレセプトの電子化に着手した。当時レセプトは記述方式の統一性が十分ではなかったが、同社は傷病、医薬品、医療行為、投薬、医療材料などを分析するためのマスター(共通辞書)を作成、データ形式の統一化を実現した。疾病分類はIDC10(国際疾病分類)に基づき、レセプトに記載されるすべての情報を電子化しており、すでに18000万件以上のデータ処理実績があるという。

 レセプトには、患者の年齢、性別、診療を受けた時期から、保険医療機関名、検査、投薬など疾病名、診療内容、薬剤名・処方量、公費負担額に至るまで、多種多様の情報が記載されている。多数の個人情報も含まれるため、独自の匿名化技術「MediC4」を用いて個人の特定を困難にし、匿名性を維持しながら特殊コードによる名寄せを実現した。

 レセプト情報を収集しデータベース化することで、保険診療状況を把握でき、診断、治療、投薬の時系列情報を補足することが可能になる。これらのデータを活用するための基盤として、同社は「JMDC Data Mart」を開発した。ネットワークを通じて利用できる疾病/処方患者分析ツールで、医療関連の情報をさまざま角度から分析可能になった。たとえば、ある疾病の全国推計患者数、患者一人あたりの期間投薬量、期間投与日数といったデータが得られる。

高いパフォーマンスとシンプルな点を評価

日本ネティーザ
執行役員 技術本部長 法華津誠氏

 JMDCは、このシステムを実現するためにデータウェアハウス構築の検討を開始。2008年に日本ネティーザの「NPS 5200」の導入を決めた。その後、「ユーザー数が増大してNPS5200だけでは対応しきれなくなり、2009年には『Netezza TwinFin』も導入した」と林氏。現在、JMDC Data Martは、「NPS5200がデータ事前処理、開発およびテスト環境を担い、Netezza TwinFinが本番環境で稼動している」という。

 日本ネティーザの法華津氏が「日本ネティーザを選んだ大きな理由は何か」と問うと、林氏は「処理性能が高く、シンプルだったことだ。導入には手間がかからず、2週間でシステム構築ができた。また、BIツールの使用も考えたが、3カ月ほどで分析システムを自社開発することができた。運用管理も容易であり、専任の担当者も必要なかった」と答え、日本ネティーザの製品を高く評価した。

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