グループ全体で約3万人の社員を抱えるNTTデータは社内で数多くのシステムを稼働、そのアプリケーションソフトは数百種にも及ぶ。当然、ソフト管理や配布作業には多大な手間とコストを要していた。その問題にいち早く取り組んだのが同社 基盤システム事業本部のMS開発部だ。MS開発部では、マイクロソフトのアプリケーション仮想化ソリューション「Microsoft Application Virtualization」(App-V)を導入、作業効率を大きく改善した。今後は全社展開、そしてNTTグループの各社、さらには社外への導入も視野に入れている。
アプリケーションの管理、配布を効率化する

国内最大手の情報サービス企業であるNTTデータに、MS開発部が誕生したのは2008年4月。マイクロソフト製品を核に、社内および社外のユーザーに対してSIサービスを推進する部隊だ。今年で設立3年目を迎える同部隊は、約65名の人員を抱えている。
主にサーバ製品として「Windows Server 2008 R2」、クライアント側は「Windows 7」をベースとしてシステムの提案や設計、構築サービスを提供しているMS開発部だが、その中のひとつのテーマとしてアプリケーションの仮想化案件が浮上してきた。その背景を、NTTデータ 基盤システム事業本部 MS開発部 システム開発担当 課長代理の大西壮輝氏はこう説明する。
「NTTデータの社員だけでも1万人近くに達していますので、社内では以前からアプリケーションの管理や配布の効率化という課題を抱えていました。こうした悩みはわれわれの大手顧客も持っていることですし、まずは社内でこの課題に取り組み、その経験を社外に展開することを視野に入れてプロジェクトを進めました」
従来NTTデータではこうした課題に対し、個別でアプリケーションの管理基盤や配布基盤を構築。MS開発部が所属する基盤システム事業本部では専用端末を設置し、個々人が手作業でバージョンアップを行っていた。しかし、それは独自システムのためOSを更新すると作動しなくなる。手順書を作って対応しても、作業ミスも発生するなど、いくつかの問題があった。
そこでMS開発部は、将来的に顧客への訴求が考えられるこのテーマへの取り組みを開始する。ソリューションの導入にイニシャルコストがかかっても、将来的には確実に管理コストの削減につながるという判断があった。