「なるほどね。それで、それから?」
「次に行うべきことは、君の分析を中立的なものにするということだ。今問題になっているのは、君個人のことじゃあない。プロジェクトについてのことなんだ。それが元々の目的であり、このイニシアティブから会社が得ようとしていることだからね。今の状況が危機的なものとなっている可能性もあるはずだ。君の懸念が正当なものであるのか、大げさなものであるのかを見極めるために、コンサルタントによる支援を委員会に要請してみるといい」
「コンサルタントですって?実際に頼んでみるまでもなく、その答えは分かっている気がするわ。それに、コンサルタントなんて時間とお金の無駄にしかならないんじゃないの...」
「実際のところコンサルタントである必要はなく、社内にいる優秀な人物でもいいんだよ。とは言うものの、優れたコンサルタントはこういった状況でとても役に立つはずだ。だから、時間とお金の無駄になんかならないよ。事実、君は問題を抱えているし、客観的な視点に立つために外部の人間の助けを必要としている。また、君の方から支援を求めることで、君自身が主導権を握ることができるうえに、問題に焦点を当てた理性的な対応を取っていると見てもらえるようにもなる。問題解決に外部の人間を参加させることを拒めば、何か隠し事があるのではないかといった疑いを持たれたりして、保身に走っているという印象を与えることになりかねない。それに、内部の人間による報告であればあまり評価されないような情報でも、コンサルタントならば効果的に伝えられる場合も多いんだ。そういうものなんだよ」
「それで全部?」
「とんでもない。話はまだ始まったばかりだよ。問題に対処するための公式な選択肢をまとめ上げる過程で、同僚にも意見を求めてみるんだ--個人的にね。その際には、君の抱えている懸念を詳しく説明する必要があるだろうけど、1対1で話をすることが肝心だ。廊下ででも、あるいは同僚のところまで足を運び、少し時間を取ってもらうだけでいいだろう。そして個人としてのものの見方に注意深く耳を傾けるようにするんだ。同僚を信頼することが重要だ。そして君自身の意見を述べ、評価してもらうといいだろう。今の状況に対処する最善の方法を見つけ出す手助けをしてもらうわけさ。こういった非公式な議論を通じることで、ものごとの対処方法が見えてくるはずだ。それにこういったことは、今後の計画を立てるうえで役に立つだけでなく、この段階で目指すべきことでもある、同じ側に立つ人間を増やすという意味でも役に立つんだよ。こういったことが重要なのは、これによって同僚や上司が君の決断に一枚噛んだことになり、君は単に評価されるだけの立場ではなくなるからさ」