クラウドの先にある「Intelligent Society」の姿とは?--富士通フォーラム2010 - (page 2)

柴田克己(編集部)

2010-05-13 19:55

 Intelligent Societyを実現するにあたっては、実世界でセンサやモバイル端末などによって収集された膨大な量のデータをクラウド上に蓄積し、それに分析を加えて、最終的に実践知(知識)として実世界に還元するサイクルが基本となる。その基盤となるのは、富士通のトラステッドクラウドサービスだ。

 必要となる技術要素としては、大量のセンサや端末で発生するデータをネットワークに流したり、情報を効率的にミドルウェアで処理するといった「インテリジェントネットワーク技術」、スーパーコンピュータなど、シミュレーションや分析を行うツールとしての「ハイパフォーマンスコンピューティング技術」、膨大な量のデータをフルに活用して存在する問題の傾向を分析し、適切な対策を立案する「リスクマイニング技術」などがあるとする。

 富士通では、こうしたIntelligent Societyの実践に向け動きつつあるという。事例としては、各家庭にある電気の「検診メーター」のデータをニアリアルタイムに収集分析して、電力消費のピークに対応するといったエネルギー分野での取り組みをはじめ、保守分野、物流分野、ヘルスケアおよび医療分野、環境分野、農業分野など多岐にわたるという。

実践知創造の仕組み データから実践知を生み出すにあたっては、さまざまな技術要素、アルゴリズム、デバイス、アライアンスが必要になる。

 また、Intelligent Societyの世界では技術だけではなく、企業のビジネスモデルや連携の仕方も変化すると山本氏は指摘する。「従来のICTでは、企業単独でデータ処理を行っていた。これが、業界横断で知識処理を活用できるようになれば、社会的課題を解決し、新たな事業を創出できる。複数の企業が提供するサービスが連携することで、大きな価値が生まれる。価値とサービスが、水平、垂直に連鎖していく」という。そうした連鎖が特に期待できる分野としては、「スマートグリッド」「自動車」「ヘルスケア」などがあるとする。

 富士通では、クラウドを中心とするさまざまな技術要素を組み合わせて生かしつつ、新たなビジネスと社会のあり方を、人とプロセスとICTを一体化する「フィールドイノベーション」によって追求していくという。

 「経営戦略としての“お客様のお客様起点”“グローバル起点”“地球環境起点”を着実に実行しつつ、新たなビジョンのもとで成長を目指していく。富士通は、今後10年、この“Human Centric Intelligent Society”の実現を目指し、追求していく」(山本氏)

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