Jazzと同じで、リスニング(音楽を聴く)と発声(コピーして演奏する)は完全を目指しましょう。その時に、文法や日本語訳を考える必要は全くありません。あくまでもリズムとピッチに執着するのです。これを継続すると、驚くほど発音がよくなります。
本来であればこれを繰り返し、色々な英語をコピーしてから文法を学ぶのが効率的なのですが、実際にはそんな時間はないのが現実でしょう。そういう人は、是非リスニングと文法学習を並行してみるとよいでしょう。声を出すのはストレス発散にもなりますので、文法の例文を読む時も、CDのマネをするように英語の世界に浸りきって発音しながら学習しましょう。リスニングでかっこいい英語をきちんと聞き、コピーしようと努力を続けていると、文法書を読んだ時の自分の発音のひどさがよりわかるかと思います。その反省をリスニングに生かし、モノマネ学習を続けましょう。
ださくても使える!
理論だけではどうしようもないと言いましたが、実は理論は大変便利なものです。Jazzの理論を学べば、かなりださくても伴奏に合わせて即興演奏ができます。下手な演奏でも、自分の音楽を即興でプレイすることは楽しいものです。ださいからこそ、そこから「なぜださいのか」「もっとクールに演奏するにはどうすればいいのか」という新たな探求心が生まれます。それでいいのです。
英文法で学んだ英語は、理論で演奏した即興演奏と同じで、はっきり言って「ださい英語」です。ただ、大事なのは「ださくても通じる」ということです。よく受験英語は使えないと言いますが、あれは嘘です。受験英語は「ださい」だけで、ちゃんと通じるし使えるのです。理論で演奏したJazzは、確かにださいかもしれませんが、演奏は楽しい。そう、ださい英語でも、会話は楽しいのです。ださい英語なんてカッコ悪くて話せないですって? 何を言ってるんですか、英語ネイティブじゃないんですから多少ださくてもいいじゃないですか。私は日本語ネイティブだから、と開き直ってしまいましょう!
英語に伸び悩んでいる初心者は、まず中学1年生のCD付き教材を買ってきて、マネっこごっこを楽しんでみて下さい。そして並行して、ださい英語を文法書で頭に叩き込んでください。特に大人は理論を理解しやすい頭を持っていますから、理論を学ぶとそれだけ力がつきます。理論からできあがるださい英語がわからなければ、かっこいい英語だって理解できません。ちなみに文法問題集も、まずは簡単なものをお勧めします。自分のレベルを判断して「簡単そう、でもちょっと難しい」問題集を選びましょう。もしあなたのレベルに合っていれば、以前にも話しましたが伊藤和夫先生の「英文法頻出問題演習」シリーズ(駿台文庫)が私のお勧めです。ご参考まで。
次回はいよいよ最終回。ださい英語からかっこいい英語を目指すために、仕事を通して英語をどう学ぶのか、エリック自身が実際のグローバルプロジェクトでの経験をベースにどうやって英語を学んだのか、お話します。
Peace out,
Eric Matsunaga
筆者紹介
エリック松永(Eric Matsunaga)
Berklee College of Music、青山学院大学大学院国際政治経済学研究科(修士)卒業。19世紀の米国二大発明家Graham Bellを起源に持つ米国最大の通信会社AT&Tにて、先進的なネットワークコンサルティングの領域を開拓。その後アクセンチュアにて、通信分野を柱に、エンターテインメントと通信を活用した新事業のコンサルティングをグローバルレベルで展開する。現在、通信業界を対象にした経営コンサルタントとして活躍中。著書に「クラウドコンピューティングの幻想」(技術評論社)がある。TwitterのIDは @EricMatsunaga。
イラストレーター: まつなが みか
つぶやく日本人や音楽にまつわる「人」のイラストを描く。CDジャケット、ショップ、雑誌等で活動中。エリック松永の愚妹。