Benioff氏は、「Cloud 2では、プラットフォームが変わり、ワークフローが変わり、ウェブの使い方やコンテンツ共有の仕方、分析手法やナレッジ管理、APIなども大きく変わる。現在、高い市場占有率を持つベンダーや、それを主流の製品と考えて利用している企業は、新たな世界に踏み出せない状況にある。数多くのデータがあるのに、それを分析できずに顧客の姿がわからない企業、技術革新ができない企業、知らないことが多いのに、それを把握できていない企業がある」とする。
そして「Lotus Notesは、コラボレーションツールとされているが、インターネットが登場する前にできた製品。情報を見落としたり、せっかくの情報が手遅れになってから活用されるなど、むしろ、企業の成長を停滞させているのではないか。マイクロソフトのSharePointも同様だ。これらの製品を今でも使用していることは、理解に苦しむ」などと痛烈に批判。「Facebookであれば、数多くの情報がリアルタイムで集まってくる。今、私が問いたいのは、Facebookのような企業向けコラボレーションツールがあったらどうか、また非公開で安全、安心な環境を実現できたらどうかということに尽きる」と語った。
そこで、セールスフォースが提案するのがChatterである。
Chatterは同社が提供する新サービスで、個人やチームをフォローするといった機能を持ち、リアルタイムで関係者がコラボレーションできるツールだ。これによって、会社内のPCだけでなく、外出先のモバイルPCや、スマートフォン、iPadなどの新たな端末でもまったく同じ情報が共有できるようになるという。
デモでは、複数のノートPCとiPhoneが使用されたが、一度壇上から消えたBenioff氏は、自身が所有するiPadやBlackBerryを持ち出して、実際にスクリーンに表示。複数のデバイスでシームレスに活用できること、このサービスを利用して、社員が今なにをしているのか、会社としてどんなことを行っているのかといったことを見られる実例を示した。
セールスフォースでは、Cloud 2の世界において、Chatterのほかに「Sales Cloud 2」「Service Cloud 2」「Force.com Custom Cloud 2」などに取り組んでいることを示し、さらに、600万人のJava開発者がVMforceなどを活用して、エンタープライズJavaクラウドの世界を実現できるとした。
富士通ラーニングメディア執行役員の青山昌裕氏は、Force.com Custom Cloud 2の事例として、1000人が利用する受講者管理システムを社員2人で、2カ月間で構築したことを紹介。「開発者はJavaの5倍ぐらいの生産性の高さを感じたようだ。Javaやデータベースのスキルがあれば、すこし慣れるだけですぐに開発できる」とした。
Benioff氏は、ユーザーの多くが懸念するクラウドの信頼性、安全性、可用性についても触れ、セールスフォースの高可用性と安定したアップタイムはメリットであるとし、「トラストといった観点でも、より高い透明性を実現している」などとした。
Benioff氏は「クラウドの門戸を、より多くの人たちに向けて開放していくのがセールスフォースだ」と述べ、講演を締めくくった。