今回、マイクロソフト米国本社で、Enterprise Tech Strategistを担当しているMoritz Berger氏に、Office 2010のコンセプトなどについて改めて聞く機会を得た。
Berger氏はまず、「Office 2010においては、Officeアプリケーションを使用する際に障害になっていることはなにか、どんな使い方を提案できるかといった点にフォーカスした。使う人がイライラすることなく、より使いやすくするとともに、携帯電話でも利用できるといった新たな利用環境を提案した」と切り出した。
「調査をしてみると、個々のOfficeユーザーが利用している機能は、すべての機能の約10%でしかない。だが、それぞれの企業や個人は、それぞれに異なった機能を10%ずつ利用している。自らが必要な機能をストレスなく使えるように、Office 2007からインターフェースを改良し、これをOffice 2010でも継承した。従来30分間かかっていたタスクを、Office 2007では24分でできるようになったという調査結果がフォレスターリサーチから出ている。これをOffice 2010ではさらに短縮できるだろう」(Berger氏)
Office 2007から採用されたリボンインターフェースは、2010でカスタマイズも容易になり、自分の好みで必要なコマンドを任意に設定できるようになった。一見、変化がわかりにくい部分にもこうした工夫が行われている点が、Berger氏がOffice 2010での成果に自信をみせる理由のひとつだ。
例えば、マイクロソフトが行った調査によると、ユーザーが行うOfficeアプリケーションの操作のうち、約2割が「コピー」や「ペースト」という作業で、しかも、その作業後に使うコマンドの実に5割が「作業のやり直し」だったという。「(Office 2010では)コピーしたものが、どんな形でペーストされるのかがわかるように、その場でプレビューを見ることができるようにし、やり直しの作業を行わないで済むようにした」(Berger氏)
また、印刷プレビュー機能もあまり多くの人が使っておらず、一度プリントアウトしたのちに、ページが途切れてしまったところを修正して再度プリントアウトするという使い方が多かったという。そこで、Office 2010では、プレビューコマンドを押さなくても、プリントする前に対象にカーソルを持っていけば、プレビューを自動的に見ることができる機能を追加したそうだ。
こうした工夫は随所に盛り込まれ、それが「ストレスのない操作につながっている」とする。