ガートナー ジャパンは5月20日、日本国内のSaaS市場規模予測を発表した。2010〜2013年は年平均11.7%で成長して、2013年には427億円になるとしている。2008〜2009年に企業のIT予算が縮小される中で、低い初期コストで導入できるSaaSへの関心が高まり、利用率は2009年に31.2%まで上昇したとみられるという。
今後は、アプリケーション導入期間の短縮、商圏やビジネスモデルの変化に伴うシステムの拡張性と柔軟性へのニーズなどがSaaSの導入を後押しすると予測している。一方でベンダーのマーケティングキーワードとして多用されてきた結果、SaaSの定義が混乱し、ASPやアプリケーションホスティングなど既存サービスと混同が生まれているとみており、こうした混乱や誤解がSaaS市場の発展を阻害する要因にもなると分析している。
主要アプリケーション別には、顧客情報管理システム(CRM)とメール/グループウェアが成長率と規模の両面で市場をけん引すると予測している。CRMは、利用が先行している営業支援システム(SFA)に企業間(BtoB)向けコールセンターでの活用が見込まれるという。メール/グループウェアは、グループウェアにおけるSaaS利用が中小企業から大企業に広がるだろうとしている。
統合基幹業務システム(ERP)やサプライチェーン管理システム(SCM)は現時点で人材の発掘や育成、管理を行うタレントマネジメントや電子調達など一部の領域での利用に限られているとみている。今後は、ERPでは財務会計領域でのスイート機能、SCMではサプライチェーン統合や輸送管理など、徐々に利用範囲が拡大していくと予想している。
ガートナーではSaaSの定義を「外部プロバイダーが所有、管理し、共通のコードとデータ定義にもとづくアプリケーションソフトウェアを1対多モデルでネットワーク経由で提供するサービスであり、従量制やサブスクリプションモデルで課金される」としており、顧客ごとに設定したソフトウェアを1対1モデルで提供する従来のホスティングと区別している。