IDC Japanは5月27日、2010年1月に実施した調査および取材結果をもとに、デスクトップ仮想化市場の産業分野別および従業員規模別での分析を行い、その結果を発表した。これによると、デスクトップ仮想化の「導入率」(本格導入+試験導入)は6.3%となった。「導入予定」「導入検討中」を含めると14.8%になり、多くの企業がデスクトップ仮想化の導入に取り組み始めた状況にあるという。同調査はウェブを使って行われ、デスクトップ仮想化導入実績のある企業のIT管理者などを中心に、1次調査で約3000社、2次調査で約540社を対象に実施した。
デスクトップ仮想化製品の選定理由について、産業分野別では、金融の「サポート体制が良い」、製造の「国内での実績が高い」、情報サービスの「製品の品質が総じて高く信頼性がある」、自治体および教育の「国内での実績が高い」がそれぞれ最優先の選定理由となった。IDC Japanでは、その他の業種でも選定理由はさまざまで、業種によって傾向が異なるとしている。
一方、従業員規模別の選定理由では、小規模(1〜99人)では「製品のパフォーマンスが優れている」、中規模(1000〜2999人)では「製品ベンダーの信頼性が高い」、大規模(1万人以上)では「サポート体制が良い」がそれぞれ1位となった。小規模企業の選定理由では製品自体を重視する割合が高く、中規模から大規模企業ではベンダーで選ぶ割合が高くなっているという。
IDC Japan、PC、携帯端末&クライアントソリューションシニアマーケットアナリストの渋谷寛氏は「デスクトップ仮想化は戦略的IT投資と位置付けられる。コストとなるだけのITの時代は既に終焉を迎え、今後は具体的な投資効果のあるITが生き残る。産業分野別および従業員規模別の踏み込んだ調査分析によって、ビジネス機会はより明確になった。最大の障壁である“初期導入コスト”に対する明確なリターンを数値化し提示することと、IT管理者の意識を高めることが、デスクトップ仮想化の導入促進につながる」とコメントしている。