#5:Exchange 2003のフロントエンドサーバ機能が置き換えられている
アップグレードや移行に関する記事の中には、Exchange 2003のフロントエンドサーバとExchange 2010のクライアントアクセスサーバを比較しようとしているものがあるようだ。クライアントアクセスサーバ(一般的にはCASと呼ばれている)がOutlook Web App(OWA)をホストするという点において、これは妥当な比較と言える。しかし、Exchange 2003のフロントエンドサーバはオプションであったものの、Exchange 2010のCASは(たとえOWAを使用する予定がなかったとしても)必須となっている。このため、Exchange組織に接続するすべてのクライアント(OutlookやOWA、ActiveSyncといったクライアントを含む)は、CASを経由して接続することになるわけである。
#6:ルーティンググループと管理グループはなくなっている
ルーティンググループと管理グループはExchange 2003における基本的な概念であった。しかし、これらの機能はExchange 2007で削除され、Exchange 2010でも存在していない。
#7:後方互換性を維持するための計画が必要となる
Exchange 2010のCASとハブトランスポートサーバは、Exchange 2003との後方互換性を有していない。このため、移行が完了するまで、フロントエンドサーバとブリッジヘッドサーバ、そして場合によってはメールボックスサーバもそのままにしておく必要がある。これらサーバの退役時期を間違えると、Exchange 2003サーバ上にメールボックスを持つユーザーの機能性が失われることになりかねない。
#8:CASにはプロキシが組み込まれている
Exchange 2010のCASを稼働させたのであれば、外部DNSエントリを作成し、すべてのOWAリクエストがそのCASに送られるようにすべきである。ただし、Exchange 2003のフロントエンドサーバはそのままにしておく必要がある。CASにはプロキシが組み込まれているため、Exchange 2003上にメールボックスを持つユーザーがExchange 2010のCASに接続した場合、該当リクエストは自動的にExchange 2003のフロントエンドサーバへとリダイレクトされるようになる。