三井化学は、管理会計の高度化や決算開示の早期化を目指した制管一致(制度会計上の数値と管理会計上の数値の一致)の新連結会計システムを構築し、2009年10月の決算から全面運用を開始した。システム構築を支援したITホールディングスグループのTISが、6月10日に発表した。
TISによると、今回構築した連結会計システムでは、管理会計の高度化や決算開示の早期化を目指したという。パッケージソフトには、管理会計に強く国内会計基準に加えIFRS にも対応する「SAP BusinessObjects Financial Consolidation」を採用。個別に稼働していた制度会計システムと管理会計システムを一つにした新システムを構築したとしている。
SAP BusinessObjects Financial Consolidationは、事業別連結などセグメント連結の柔軟性を有しており、同じ収集データを基に制管で連結処理ルールを分けて処理し、それぞれの結果を保持できるという管理連結に強い特長を持っている。また、制度会計に関しては日本会計基準(JGAAP)向けのテンプレートが用意され、連結処理も高速で行えるという。
今回のシステム刷新により、事業単位でのバランスシート(貸借対照表)やキャッシュフローが四半期単位で把握可能になり、資源配分や活用状況の改善に役立てることができるようになったという。また、制管の整合が取れたレポートを同時に作成することが可能となり、管理会計データの信頼性が向上した。さらに、連結決算業務の迅速化にも対応可能な環境が整ったとしている。
三井化学は、海外43社を含む98社の連結対象子会社および関連会社(2009年3月31日現在)を持つ。同社が約10 年前に導入した既存の連結会計システムは、法律によって定められた対外報告を目的とする制度会計用の連結会計システムに、自社の経営状態を把握するための管理会計用の連結会計システムを追加して構築したものだった。そのため、改修による現状以上の決算早期化に限界があり、経営を把握するための事業別の四半期実績の把握にも時間と労力を要していた。また、グループ会社から届いた連結データを制度会計と管理会計それぞれ個別にシステムに取り込んでいたため、制管一致の整合を取ることが困難だったという。
こうした背景のもと、三井化学は連結処理のスピードアップや効率化、連結経営情報の可視化、管理要件への柔軟な対応を実現するべく、2007 年に制管の一致を図る新システムの検討を始めたとしている。
2000年から三井化学の基幹システムとしてSAP R/3 の導入を進め、その後も運用保守を実施していたTISは、三井化学およびグループ各社でもSAPシステムを利用している点を考慮し、新システムとしてSAP BusinessObjects Financial Consolidationの導入を提案、これが採用されたとしている。三井化学の制管一致の連結会計システムは、2008年7月に構築を開始し、2009年1月に予算系の構築を完了。2009年2月の連結予算(管理連結)から運用を開始し、2009年10月の決算より新連結会計システムとして全面運用が開始されている。