クラウドコンピューティングと地政学的境界--「2つの現実」がもたらす運用面の課題 - (page 2)

文:James Urquhart(Special to CNET News) 翻訳校正:川村インターナショナル

2010-06-30 08:00

 「現実世界」とインターネットの衝突は新しいことではないし、クラウドコンピューティングに限ったことでもない。これらの問題は、あらゆるグローバルな分散型コンピューティングパラダイムの中に存在している。

 例えば、インターネットの黎明期、運動家の多くは、少なくとも言論の自由と政治組織という点に関して、インターネットを地政学的な境界線と政府の力に打ち勝つための手段だと見なしていた。それ以来、政府がそうした機能に対抗しようとしたり、物理的な境界線というものを本質的に認識しないメディア上でさえも、自らの物理的境界線の内側の人々や組織に対する統制を強化しようとしたりする事例を、われわれは幾度となく目の当たりにしてきた。

 この問題は、クラウドコンピューティングの利点を活用しようとしている開発者やアプリケーション所有者にとって、特に深刻なものだ。よく知られている例としてプライバシー法がある。データセンターの場所は重要でないと見なされているにもかかわらず、政府が明示的に禁止された方法で「現実世界」の境界線を越えてデータを移動させた企業を起訴しようとする世界で、開発者はどうすればアプリケーションを運用できるというのだろうか。

 (Forrester Researchは非常に興味深い地図を公開している。これは、世界の多くの地域に関して、プライバシー法の厳しさの度合いを色別に示したものだ。グローバルなクラウドコンピューティングサービスのユーザーが直面している実態を顕著に表した例だ。筆者も数年前に執筆した記事の中で、コードが自らのアルゴリズムを実行する過程で、法律の不一致を積極的に利用しようとする世界を描いている)

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