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NECのビジネスプロセス改革、その背景と成功への道 - (page 2)

藤本京子(編集部)

2010-06-22 20:53

 次に、方法論で大切なこととして土`方氏は、「明確なBPMライフサイクルと常に改善を続けるというコンセプト」、「プロセス、コード、システムのすべてがひとつに統合されたビジネスアーキテクチャ」、「リリースサイクル管理」、「ロールアウトとロールインのフレームワーク」を挙げている。

 NECでは、目標達成のためにBPMライフサイクルを決め、改善を続けるというコンセプトを周知させた。BPMライフサイクルには、「戦略(現状のプロセスを見える化し、必要なことは何かを見極める) → デザイン(プロセスの領域を決め、標準の設計を定義する) → 実装(導入とテスト、オペレーションの準備) → 管理および調整(実際のBPMのオペレーションとモニタリング、改善計画)」といった段階があるが、「これを継続し、改善し続けることが大切だ」と土`方氏は言う。

 ツールには、IDS ScheerのARISを利用した。比較検討した他社製品もあったというが、ARISを採用した理由について土`方氏は、「大規模システムでも使えるソフトウェアであったことや実績があること、グローバル展開していること、プロセスとITを同期する機能があること」などを挙げている。また、今回NECではSAPを導入するという背景もあったため、SAPとの相性も考慮したという。

須藤氏 NEC 経営システム本部 業務プロセス改革部 シニアマネージャー 須藤浩志氏

 導入にあたって苦労した点については、須藤氏が「全社で同じプロセスを共有したいと伝えても、すぐに全員の理解が得られるわけではなく、反対派がいたのも事実」と明かす。しかし、そこはトップダウンで改革を進め、「各国で顧客事情や法律、税制が違うことは考慮するが、それ以外はすべてこちらの方針に従ってもらうよう、全世界を行脚中」だという。

 改革の進み具合について須藤氏は「順調……とまで言えるかどうかはわからないが、後戻りすることはなく確実に進んでいる。方法論やツールも確立されているため、進め方をどうするかのみだ」と語る。ただし、「方法論はあっても改革を進めるのは人間。方向性が同じでも、地域によって進み具合は違う」としている。

業務処理パターンを大幅に圧縮、コスト効果も

 標準業務プロセスの設計により、すでにNECでは目に見える成果も出している。例えば販売領域においては、従来100種類以上あった業務処理パターンを22種類のパターンに整理、標準化した。こうした業務プロセスの簡素化と新システムにより、「関連する間接部門の費用は20%以上削減できる。また、グローバルな連結経営管理が迅速化され、内部統制も強化される」(土`方氏)という。さらに、社内システムのTCOも、20%以上の削減を見込んでいる。

 NECはこの1年で成熟度が大幅に向上したという。成熟度向上のスピードが速かったことも、冒頭に述べたBusiness Process Excellence Award受賞のきっかけとなっている。IDSシェアー・ジャパン 代表取締役社長の沖村一宏氏は「短期間の取り組みで成果も出ている。方法論などは他国でも普遍的に展開できる要素だ。今回NECがこの賞を受賞したことは、日本のBPMのレベルがグローバルレベルに達成したことの証明」と述べている。

 今後NECでは、このビジネスプロセス改革の経験をベースとし、顧客に対してもコンサルティングや業務アプリケーションサービスの提供をはじめとするクラウド指向サービスを展開する予定だ。「クラウドサービスを提供するにはプロセスの設計も重要だ。今回の経験はクラウドサービスを提供するための土台作りになった」と土`方氏は述べている。

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