XenClientとは何か?
XenClientはXenServerと同様にベアメタル型の手法を採用した、クライアント向けの仮想化ソフトだ。Citrixは2009年の1月にクライアント向けの仮想化ソフトをIntelと共同開発することを発表しており、当初は開発コードネームで「プロジェクト・インディペンデンス」と呼ばれていた。元々は2009年後半の正式リリースを予定していたが、スケジュールは若干遅延している。
同社はこれまでにもデスクトップ仮想化の「XenDesktop」やアプリケーション仮想化の「XenApp」といった配信型の仮想化製品をクライアント向けに提供しているが、今回XenClientと共に「BYOC」(Bring Your Own PC、私有パソコンの持込)という新しいコンセプトを提案している。
現在、管理面の問題から私物ノートPCの職場への持ち込みを禁止している企業が多い。しかし、XenClientを使用すれば1台のPCに完全に独立(インディペンデンス)した「個人用の環境」と「業務用の環境」を構築できるため、個人所有のお気に入りのノートPCを職場に持ち込んで安全に仕事に使えるというわけだ(もちろん会社が認めれば、の話だが)。
XenClientではXenServerが動作しているサーバ環境に組み込んだ「Synchronizer for XenClient」というソフトを利用して、環境をサーバ上にバックアップしておけるので、万一環境が壊れてしまっても、簡単にリストアでき、業務への影響を最小限に留めることができる。
また、業務用の環境ではグラフィックチップの性能はあまり重視されないが、個人用の環境ではゲームが快適に動作するスペックのグラフィックチップが必要となる。一般的に仮想化ソフトではグラフィックチップをエミュレーションで処理するため、高いグラフィックス性能は望めないが、XenClientではIntelのI/O仮想化支援機能「VT-d」を利用して、一つの仮想マシンから直接グラフィックチップにアクセスすることができ、ゲストOS上で3Dゲームの動作も可能なグラフィックス性能を実現している。