Merritt氏は、Efficient Enterpriseの実現を目指すデルの「哲学」として「オープンな技術を用いる」点を挙げ、「デルはクローズドな技術は信頼しておらず、そこではイノベーションも起きないと考えている。オープンな技術をベースに、ベスト・オブ・ブリードをパートナーのソリューションと組み合わせて低コストで提供することは、デルのDNAに組み込まれている」と強調する。デルを選択することによって、顧客が囲い込まれることはなく、そこで先進の機能をリーズナブルな対価で利用できることがユーザーのメリットであるとした。
デル自身によるEfficient Enterpriseへの取り組み
デルでは、実際に自社において、Efficient Enterpriseを目指した取り組みを2008年より開始しているという。既存のIT資産の維持管理に8割が投資されていたITコストの構造を変革し、2010年中に戦略的投資と維持コストの比率を5割ずつの割合へと移行するという計画だ。
この自社事例において、デルがとったアプローチが「標準化」「シンプル化」「自動化」という3つのステップだ。
具体的には、最初の「標準化」のステップにおいて、全システムの97%をx86ベースに移行。サーバイメージをWindowsとLinuxの2つに集約してデータセンターを簡素化した。さらに、世界で10万台にのぼるクライアント用のイメージも全世界共通のものに統一した。
次の「シンプル化」のステップでは、アプリケーションのフットプリントを60%削減したほか、地域別に存在した複数のシステムを単一のグローバル基盤に置き換えるといった施策を行った。また、生産環境や新規に導入するアプリケーションに対して、積極的に仮想化技術を適用していったという。
そして「自動化」のステップでは、サーバの導入に要する期間を従来の数日、数週間単位から数時間単位にまで短縮したほか、クライアントシステムの再イメージ化についても、セルフサービスによって約1時間ほどで完了できる仕組みを導入した。また、全部で13万台におよぶクライアントとサーバの管理も、1台のコンソールから集中的に行える環境を整えたという。
現在、デルにおいてはIT投資の約3割を戦略的投資に還元できる状況が実現しているという。Merritt氏は2010年末までに「50対50」の「企業にとって理想的な投資割合」を実現できる見込みだと説明した。
「デル自身が取り組んだこの事例から、顧客に対してもこの方法論が有効であることを実証できると考えている。クライアント、サーバ、クラウドの各要素での効率化を行ってEfficient Enterpriseを推進するにあたり、われわれははっきりした回答を持っている」(Merritt氏)