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標準化に携わると出世レースから外れる?--標準化プロセスの現場 - (page 3)

海上忍

2010-08-02 11:58

霞を食べては生きていけない…エキスパートの生き方とは?

海上:それはさておき、人間霞を食っては生きていけませんから、どうしても金銭的なバックアップが必要になってくると思うのですが。

村田:そうですねえ……しかし、日本企業にこれだけ元気がない状況下、多くは期待できませんよ。90年代からすでに腰が引けていたのですから、これから方針が変わるとも思えません。公的な機関で後押しするような体制があれば、という期待はありますが。

海上:その可能性はあるでしょうか?

村田:難しいでしょうね。たとえば、W3CやIDPFは政府機関ではありませんから。国内で(標準化推進の)委員会を設立したとしても有効に機能するとは考えにくいので、強力なエキスパートを国際標準化団体に送り込み、その人に情報提供するなどの形で支援するしかないのですよ。政府が表立って乗り出す、ということはないでしょうね。

海上:先ほど若手層の不在について言及されましたが、企業からも公的機関からも支援を期待できない状況では、新しい協力者も現れにくいですよね。

村田:思えば過去も、この標準化に取り組めば会社の役に立つからと、調子のいいことを言いつつ取り組んでいたわけです。標準化に取り組むある日本人の説によると、「標準化に関わると会社の出世レースから取り残されるが、大失敗もしないから責任をとって詰め腹を切らされることもない」ようですから、悪い話ばかりではないかもしれませんよ(笑)

海上:国外の方々は、どのようにして生計を立てているのでしょうね?

村田:いろいろな方がいます。それこそ、霞を食っているに近い方もいますよ。自分はもう収入などどうでもいい、と。すでに相当の資産があるから収入のことは気にしない、という方もいます。大手企業の従業員で(標準化の作業は)ビジネスだから、と割り切っている方もいますしね。大学にポジションを持っているので、収入はそちらから、というケースもあります。

海上:どの国でも、公的機関はバックアップは実施していないのですか?

村田:そういえば、先ほど話に上ったGyllingさんは、スウェーデン政府からDAISYコンソーシアムに派遣され、そこからIDPFに派遣されている公務員です。ですから、皆無ではないようですね。

 XMLの標準化を進めていたときには、Sun Microsystems(当時)がスポンサーとなり、電話会議代などを負担してくれました。Jon Bosakさん(XMLの生みの親とも呼ばれる人物。元Sun Microsystems)に時間をフルに使うことも許可してくれました。そのような僥倖があったから、XMLを進めることができたのです。

海上:標準化に関わることで、仕事面でプラスに作用するといったことはありますか?

村田:どうなのでしょうね……私も最初、XMLではボランティアでしたが、いまやその方面で食べています。そういう意味では、そのうちなんとかなるだろう、と(笑)

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