#3:クラウドのデータセンター
企業の本社にとって(あるいは大きな支社にとって)最も費用がかかり、重荷となるものとしてデータセンターを挙げることができる。オフィスビル内の再編時には、データセンターのことを常に考慮する必要があるため(コストが跳ね上がったり、制約が課されたりすることもある)、その作業は困難なものとなる。
このため一部の企業はこういった状況を打破する道を模索しており、自社内にあるデータセンターの統合や最小化、あるいはデータセンターそのもののアウトソーシングに目を向けるようになってきている。また、企業によっては、Salesforce.comのようなクラウドコンピューティングアプリケーションに軸足を移そうとしている。また、Amazon Web Services(AWS)やRackspaceといったベンダーからサーバをレンタルしようとする企業もある。一方、電力や冷却、通信の冗長性といった問題にわずらわされずにすむよう、サードパーティーのデータセンターから場所を借りるという従来型のオプションを選択する企業もある。
こういった状況を目の当たりにしたEMCやMicrosoftといったベンダーも、この分野で強力な存在になろうと考えており、サーバをすべて仮想化したうえで、クラウドというソリューションが持つ柔軟性と、自社サーバというソリューションが持つ機密性とセキュリティを兼ね備えた「プライベートクラウド」を作り上げるよう企業に対して働きかけている。
#4:アウトソーシングの状況
ITプロフェッショナルが「アウトソーシング」という言葉を口にする時には必ず、(特に米国において)あるお約束の言葉が続く。ほとんどの場合、「オフショア移転」という言葉がセットで用いられるのだ。つまり、エントリレベルのヘルプデスク業務や、プログラミングといった作業を、労働コストの低い海外(たいていの場合は東南アジア)に移転するというわけである。
しかし、アウトソーシングというものは、より大きなトレンドとなっており、オフショア移転はその一部に過ぎない。アウトソーシングはすでにさまざまな形態で活用されており、今後さらに発展するものと見て間違いないだろう。IBMやHewlett Packard(HP)、Verizon Businessといった大手企業は、IT部門の保守業務を肩代わりするサービスを提供している。多くの場合、該当IT部門の人材は同じ場所で働き続けることになるものの、その給与はベンダーから支払われるようになる。そしてこういったサービスを利用することで、常時監視が容易になるという利点がもたらされる。これらの大手ベンダーは、技術者を自社の高度なネットワーク運用センターに常駐させているうえ、より困難な問題に対処できるスペシャリストも必要に応じて用意できるようにしているためである。
企業がIT部門の保守業務を外部企業に委託した場合、社内のIT部門には業務アナリストやプロジェクトマネージャーが残ることになるわけである。