まず、大手ストレージベンダー各社がスケールアウト型ストレージを発表し始めていること。次に、クラウドに注目が集まっていること。最後に、Isilonの製品自体の成熟度が高まってきたことだ。
一般企業が望む機能を高い完成度で提供するIsilonでは、こうした最近のトレンドを“SCALE-OUT 2.0”と呼んでいる。これまでの“SCALE-OUT 1.0”の段階のスケールアウト型ストレージは、「イノベーター/アーリーアダプター」と呼ばれる層のユーザーが利用する技術だったが、SCALE-OUT 2.0ではキャズムを超えて「アーリーマジョリティ」が利用するようになってきている。そして、アーリーマジョリティに選ばれる「キャズムを超えた唯一の製品」がIsilon製品だと言える。
ソフトウェアの強化
「OneFS 6.0」はIsilonにとって第6世代のソフトウェアとなる。このOSによって、「SmartPools」と「InsightIQ」という、2つの新しいソフトウェア・アプリケーションが利用可能になった。この2つは、従来からあるソフトウェア・アプリケーションを補完する製品となっている。
2009年に、IsilonはI/Oトランザクションを強化した「S-シリーズ」とコストパフォーマンスに優れた「NL-シリーズ」の2種類の製品を追加し、ユーザーに広く受け入れられたが、その結果ユーザー企業の中にはシリーズごとに独立したファイルシステムが構築された例もあった。こうして分断されてしまったファイルシステムを再び一つに統合するのがSmartPoolsだ。
SmartPoolsは、価格帯もパフォーマンスも異なる複数のストレージシステムを一つのファイルシステム、一つのボリュームに統合し、一つの管理ポイントから全てを管理できるようにする。ポリシーベースの自動データ移動がサポートされており、ユーザーのワークロードに応じて自動的にファイルを適切なストレージに移動できる。移動はファイル単位で実行され、ファイル名やパス名は変更されない。データ移動はシステムが自動的に行なうため、管理者が介入する必要はないし、アプリケーションの中断や停止も一切ない。
InsightIQは、分析のためのアプリケーションで、運用管理担当者に対して2つの視点からの分析を提供する。一つはストレージのパフォーマンスで、もう一つは、データの整理のされ方の状況だ。InsightIQはVMware環境に対応したバーチャルアプライアンスとして実装されており、ストレージシステムの外側の仮想サーバ環境で実行されるため、ストレージシステムに与える影響は最小限に留まる。高度な可視化を行なうアプリケーションであり、収集した膨大な情報から管理者が注意を払わなくてはならないポイントを抽出して強調表示することで、管理者が的確に対応できる。例外値を即座に捕捉し、パフォーマンスの向上のために何をすべきか、ワークフローを変更する必要があるのかどうか、といった情報を分析して提示する。
InsightIQは、可能な限りクラウドモデルに近づける、というコンセプトで設計されている。どれだけデータがあるか、どれだけ増えているのか、どの種類のファイルの容量が拡大しているのか、ストレージを大量に消費しているユーザーやプロジェクトを特定したり、システム全体の挙動を正確に追跡していくことができる。ストレージだけでなく、ネットワークのパフォーマンスなどの測定もできる。