XenClientを使ってみよう - (page 2)

田中俊光

2010-07-30 20:08

アプリケーションの共有

 XenClientではゲストOSは全画面表示されるため、Virtual PCやVMware Workstationなどの製品のように1つの画面に複数のOSを表示して併用することはできない。ただし、「Secure Application Sharing(安全なアプリケーション共有)」という機能がサポートされており、あるOS上で動作しているアプリケーションのウィンドウを別OS上に表示することができる。

 ここでは例としてWindows XP上のアプリケーションをWindows 7上に表示する手順を説明しよう。まず、Windows XP側でEドライブにマウントされている「XenClient Tools」のイメージファイル内にある「SecureApplicationSharing」フォルダを開き、その中のセットアッププログラムを起動する。ライセンスに同意したら「Publish Applications(アプリケーションの配信)」にチェックを入れてインストールを続行し、画面の指示に従い仮想マシンを再起動する。管理画面の「Experimental」タブで「Publish Applications」が有効化されていることを確認しよう。

「XenClient Tools」イメージファイルは標準でマウントされている。詳細画面の「General」タブで「Tools CD」の設定を「None」に変更するとマウント解除され、「Attached」に変更すると再度マウントされる※クリックで拡大画像を表示 「XenClient Tools」イメージファイルは標準でマウントされている。詳細画面の「General」タブで「Tools CD」の設定を「None」に変更するとマウント解除され、「Attached」に変更すると再度マウントされる※クリックで拡大画像を表示
アプリケーションを実行(配信)する側の仮想マシンでは「XenClient Software」の「Publish Applications」をチェックしてインストールを続行する※クリックで拡大画像を表示 アプリケーションを実行(配信)する側の仮想マシンでは「XenClient Software」の「Publish Applications」をチェックしてインストールを続行する※クリックで拡大画像を表示
管理画面の「Experimental」タブで「Publish Applications」が有効化(Enabled)されていることを確認する※クリックで拡大画像を表示 管理画面の「Experimental」タブで「Publish Applications」が有効化(Enabled)されていることを確認する※クリックで拡大画像を表示

 続いてWindows 7側で同様にセットアッププログラムを起動し、「Subscribe Applications(アプリケーションの受信)」をチェックしてインストールを行う。仮想マシンを再起動したら管理画面を開き、「Experimental」タブで「Subscribe Applications」を有効化する。Windows 7側で自動的に「Citrix Dazzle」が起動するので、「GET STARTED」ボタンをクリック。Windows XP側のアプリケーション一覧が表示されるので、使いたいアプリケーションの「Add」ボタンをクリックして追加すればよい。追加したアプリケーションは「スタート」メニューの「Dazzle Apps」に表示される。

アプリケーションを表示(受信)する側の仮想マシンでは「XenClient Software」の「Subscribe Applications」をチェックしてインストールを続行する※クリックで拡大画像を表示 アプリケーションを表示(受信)する側の仮想マシンでは「XenClient Software」の「Subscribe Applications」をチェックしてインストールを続行する※クリックで拡大画像を表示
管理画面の「Experimental」タブを開き、右下の「Edit」ボタンをクリック。「Subscribe Applications」を有効(Enabled)にして保存(Save)すればよい※クリックで拡大画像を表示 管理画面の「Experimental」タブを開き、右下の「Edit」ボタンをクリック。「Subscribe Applications」を有効(Enabled)にして保存(Save)すればよい※クリックで拡大画像を表示
セルフサービス型アプリケーション管理ツールの「Citrix Dazzle」※クリックで拡大画像を表示 セルフサービス型アプリケーション管理ツールの「Citrix Dazzle」※クリックで拡大画像を表示
自動的に「Citrix Dazzle」が起動する。または「スタート」メニューの「Dazzle Apps」から「Select more apps...」を選択して起動する。使いたいアプリケーションを「Add」ボタンで追加する※クリックで拡大画像を表示 自動的に「Citrix Dazzle」が起動する。または「スタート」メニューの「Dazzle Apps」から「Select more apps...」を選択して起動する。使いたいアプリケーションを「Add」ボタンで追加する※クリックで拡大画像を表示
Citrix Dazzleで指定したWindows XP側のアプリケーションが「スタート」メニューに追加される※クリックで拡大画像を表示 Citrix Dazzleで指定したWindows XP側のアプリケーションが「スタート」メニューに追加される※クリックで拡大画像を表示

 起動したアプリケーションはちょうどWindows 7のXPモードのようにアプリケーションウィンドウのみが表示される。ただし、OSをまたがったテキストデータのコピー&ペーストはできない。また、XP上で動作しているアプリケーションから、Windows 7側のフォルダにファイルを直接保存したり、Windows 7側に保存されているファイルをWindows XP側のアプリケーションで直接開くことはできない。セキュリティ面の課題もあるだろうが、この辺りの使い勝手は今後の改善に期待したい。

「スタート」メニューに追加されたWindows XP上のアプリケーションを起動したところ。アプリケーションのウィンドウのみがWindows 7上に表示される※クリックで拡大画像を表示 「スタート」メニューに追加されたWindows XP上のアプリケーションを起動したところ。アプリケーションのウィンドウのみがWindows 7上に表示される※クリックで拡大画像を表示

 なお、XenClientの機能ではないが、各仮想マシンはネットワーク接続された複数のPCと同様に扱われるため、Windowsのリモートデスクトップ機能を使ってあるゲストOSのデスクトップを別のゲストOS上に表示させることも可能だ。リモートデスクトップの機能により、クリップボードやドライブの共有も可能なので、データのやりとりがよりスムーズに行えるというメリットもある。必要に応じて併用すると良いだろう。

Windows 7のリモートデスクトップクライアントでWindows XPに接続したところ。ホスト型仮想マシンのウィンドウ表示モードに近い感覚で使用できる※クリックで拡大画像を表示 Windows 7のリモートデスクトップクライアントでWindows XPに接続したところ。ホスト型仮想マシンのウィンドウ表示モードに近い感覚で使用できる※クリックで拡大画像を表示

 2回に渡りXenClient本体の機能について説明してきたが、最終回となる次回ではサーバー側との連携を行う「Synchronizer」について説明を行う予定だ。

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