#6【謝罪】:言い訳や他者への責任転嫁をしていないか
問題が生じて責任を問われるような事態になった場合、自分に非がある部分と非が無い部分を区別して、非がある部分に関しては真摯な態度で謝罪し、一切の言い訳をするべきではない。謝罪に言い訳が含まれたり、他者へ責任転嫁をするような発言があると、場合によっては火に油を注ぐような事態を招いてしまいかねない。不祥事を起こした企業のトップがこの手の謝罪をし、世間から批判を浴びて事態をさらに深刻化させてしまった例をみれば、謝罪のスキルを身につけることがいかに大切かが分かる。
自分が悪かった所は認めて、原因を考え、今後同じ過ちが起きないように反省し、相手の気持ちもおさめて万事がうまく運ぶように持っていきたいと思っているのは、みな同じだ。しかし、必要以上に不利な立場に追い込まれるのは避けたいという保身の気持ちが、それを妨げるのだ。謝罪は、常に潔くなければならない。そうでなければ意味がない。ニュースで流れる謝罪会見を見て、謝っている人物の本心を疑ったことがないだろうか。あるなら、あなたはそんな謝罪をするべきではない。
#7【説得】:自分の主張を繰り返し、押し問答になっていないか
勝ち負けで言えば、「説得される」ことは負けである。当然、負けることは愉快なことではない。しかし、自分の主張を繰り返すばかりでは、押し問答の状態に陥ってしまい、相手も引けずに意固地になって、説得に応じさせることはできない。従って、説得に応じてもらうためには、相手に「説得されている」ということを意識させずに説得することが重要となる。
一見難しそうだが、利用できるテクニックはある。相手に有効な情報を的確に提供し、上手に相手の自己選択を引き出すこともひとつの方法だ。たとえば、A、B、Cの3つの選択肢がある中で、こちらがAを推したいとき、相手に無理に言い含められているという感覚を持たせずに、「やっぱりAだ」と自己選択させてしまうやり方だ。俗にいう「当て馬(あてうま)」である。
当て馬とは、馬産の用語で、正式には試情馬(しじょうば)という。馬の種付けの際に雄馬の発情を促し確認する行為があるが、その確認のためにあてがわれる牡馬の通称でもある。今では「当て馬」は転用され、取引や企画のプレゼンテーションの現場で、本命を通すことを目的に比較検討用などと称して提出されるダミーも同じ名称で呼ばれている。しかし、時には企画を出した関係者の意図とは裏腹に、この「当て馬」が本採用され、本命の企画が没となってしまうこともあるので注意が必要だ。もっとも、当て馬に負けてしまう程度の「本命」企画など、最初から出すべきでないのは言うまでもないが。