Hewlett-Packardの会長兼最高経営責任者(CEO)のMark Hurd氏が米国時間8月6日、セクシュアルハラスメント(性的嫌がらせ)の訴えに対する調査を理由に辞任を発表した。
5年間にわたり世界最大の売り上げを誇るコンピュータ会社となったHPを指揮し、会社を大成功させていると広く評価されてきたHurd氏が、驚くべき形で辞職することとなった。
Hurd氏は同日付けで辞職する。最高財務責任者(CFO)のCathie Lesjak氏が暫定的に後任に就任する。
同社マーケティング業務を契約で請け負っていた女性が性的嫌がらせを受けたとして6月下旬にHurd氏を告発したことを受けて、同社取締役会は満場一致で今回の決定に至ったとHPは述べた。HPによると、独自調査から「セクシュアルハラスメントに関するHPの方針への違反はなかったが、HPのStandards of Business Conduct(業務遂行規範)に対する違反が明らかになった」という。
Mark Hurd氏(提供:Hewlett Packard)
HP法律顧問であるMike Holston氏は6日午後、Hurd氏が「親密かつ個人的な関係」をこの女性と2007年秋から2009年までの2年間持っていたが、取締役会に報告していなかった、と報道陣に対する電話会見で述べた。この女性の名前と契約会社の名前は明かされていない。
Holston氏によると、同社の調査において、この女性が報酬や不正な費用の弁済をHurd氏から受けており、それが女性との関係を隠す計画的な試みの一環であったことが明らかになったという。
HP取締役会は6月29日、外部の契約会社から手紙を受け取り、このことを知った。HPは、外部調査員による調査を実施し、Holston によれば、Hurd氏がとった行動は「判断が著しく欠如していたことを示す」という結論に至った、とHolston氏は付け加えた。
Holston氏によれば、HPにとって出費額は重要ではないという。同氏は、「今回の決定に至らしめた事実は、清廉性、信頼性、誠実性の問題」と投資家に対して6日の電話会見で述べた。
Hurd氏は、「調査の進行とともに、わたしがHPで支持し、また、わたしのキャリアを通じ従ってきた信用、敬意、誠意における基準と原理に反する事象があったことに気づいた」と用意された声明で述べた。
Hurd氏は、2005年にCEO兼社長としてHPに入社し、2006年9月には会長に任命されている。HP入社以前は、NCRに25年勤務し、2002年にはCEOに就任した。
Hurd氏が2005年にCEOとしてHPに入社したのは、Carly Fiorina氏の辞任騒動の後だった。Hurd氏は、Fiorina時代後のHPに財政および経営上の規律を取り戻したことで評価され、数々の買収により同社をソフトウェア、ハードウェア、サービス事業を擁する技術業界最大の企業のひとつに築き上げた。
Hurd氏は、2006年のプリテキスティング問題に対する調査により当時会長であったPatricia Dunn氏が辞任に追い込まれたことを受けて会長に任命された。Hurd氏は、当時の取締役会における情報漏えいに対する調査について、あらゆる批判をかわしていた。
HPは6日、近い将来において組織および経営陣を追加で変更する考えはいないと述べた。同社はまた、売上高の年間見通しの上方修正も明らかにした。
Lesjak氏は6日、「われわれの考えとして重要なのは、今日の発表がHPの業績とは無関係ということを皆さんに理解してもらうことだ。すべてはHurd氏の行動と判断に関するものである」と電話会見で述べた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。