#3 質問されたことに対して、すぐに答えられず、話してもうまく伝えられない
二つのタイプがある。ひとつは、単に「準備不足」。そしてもうひとつは、スターターピストルの音に怯えるように「臆病」であることだ。
準備不足である場合は、必要な情報とそれに関連するファクトを紐付けて整理し、答えの引き出しを増やすべきだ。事例や引用は、コミュニケーションにとって強力な助っ人になることを覚えておこう。
一方、発言することに対して臆病になっている場合は、まず、その反応の背景にある警戒心や恐怖心を払拭することだ。そのためには、トレーニングが必要となる。レスポンスの速さは、根底に経験則が働く。先に述べた「答えの引き出し」の整理をつけながら、その検索速度を早めるシミュレーションを日々行うことだ。準備が整えば、恐怖心は薄らぐ。テレビでも、お笑い番組をぼーっと観ているのではなく、ボケとツッコミのやりとりやタイミングを教材にすることも勧めたい。
#4 性格が合わないと、自分から壁を作ってしまう
人は、不当に何かを奪われたという自己認識を持つと、強い自己不安を抱えるものだ。そして、自分を守るための防壁を築き始める。壁はどんどん高くなる。しかし、壁作りに熱心になるあまり、守ってくれるべき壁にいつの間にか自分が閉じ込められていることに気づかないのだ。そして気づいたとき、そこにはあるのは孤独だけということになる。
しかし、考えてみよう――壁が作れるのであれば、出入口も作れるはずだ。壁を壊せといっているのではない。壁の外に出ろというのだ。自分を甘やかしてはいけない。
ちなみに、1974年にアメリカで発表されたジョン・レノンのアルバムに「心の壁、愛の橋(Walls And Bridges)」がある。妻オノ・ヨーコとの別居生活、いわゆる「失われた週末」と呼ばれ精神的に落ち込んでいた時期に制作されたアルバムだが、音楽的には高く評価された。この中の収録曲「真夜中を突っ走れ(Whatever Gets You Thru The Night)」は、レノンにとって初のBillboard全米No.1シングルとなった。その後、「1位になったらゲスト参加する」と約束していたマジソン・スクエアのエルトン・ジョンのコンサートに飛び入り参加した。このコンサートには別居中のオノ・ヨーコが観に来ており、終了後楽屋で再会。「失われた週末」に終止符を打ったというエピソードがある。