ほとんどのものは、クラウド標準とみなすには時期尚早だ。実際のところ、この業界で今後10年間のコンピューティングがどのように展開するのかを今、正確に予測できる者は誰もいない。どのアーキテクチャが「勝利」を収めるのだろうか。商業の機能にとって極めて重要な存在になるのはどんなエッジケースだろうか。クラウドコンピューティング運用モデルの中核的な要件を変える新技術とは何か。
EnomalyのCohen氏は最近のブログ記事で、AWS APIに対する自身の立場を改め、AWS APIを標準として宣言することを妨げている別の要因を指摘した。Cohen氏が指摘するのは、製品ベンダー以外で、現在ポータブルクラウドAPIのことを本当に気にかけている人はいるのかということだ。大半のクラウドユーザーは1社か2社のクラウドベンダーに自社の取り組みを集中させている。ユーザー企業の多くは、クラウドベンダーを変更したために主要な運用コードを変換しなければならないという苦しみをまだ味わっていないのだ。現在のクラウドコンピューティングにおいて、ポータビリティという面はまだあまり求められていない。
この点をさらに裏付ける可能性があるのが、Object Grid Forumにおける「Open Cloud Computing Interface」標準の取り組みが明らかに崩壊しているのに、あまり騒がれていないということだ。ライセンスに関して意見が一致しなかったことから、主要メンバーの1人が極めて重要な知的財産を携えて、別の道を歩むようである。クラウドユーザーコミュニティー全体はあまり大きな怒りを表明していない。これは、同標準が現時点で、コミュニティーにとってあまり重要ではなかったということのように思える。
一貫した標準のクラウドコンピューティングAPIを求める理由は数多くある。しかし、1人の勝者を宣言することが時期尚早である理由もたくさんある(その意味では、勝者を宣言すること自体が時期尚早である)。AWSのEC2 APIとS3 APIはそれぞれの環境において優れているが、それらは単に人気のあるAPIというだけで、現時点では、クラウドコミュニティー全体にとってのデファクトスタンダードと宣言され得るようなものではない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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