IDC Japanは8月18日、国内ストレージサービス市場の2009年売上実績と、2014年までの予測を発表した。これによると、2009年の国内ストレージサービスの売上は1935億7100万円で、前年比4.5%の減少となった。またIDC Japanでは、国内ストレージサービス市場の2009年から2014年までの年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)を1.0%、2014年の市場規模を2031億円と予測している。
またIDCでは、インフラ統合の大規模化、プライベートクラウドの構築、データ移行サービスへの継続的なニーズ、ビジネスのリアルタイム性強化などにより、今後のサービス提供機会は増加するだろうと分析している。
IDCは、2009年におけるストレージのプロフェッショナルサービス(コンサルティング、導入および構築サービス、管理および運用の各サービス)について、ストレージシステムの構築案件数が減少する中で、顧客の支出をサービスに振り向ける機会そのものが失われた状態であったと説明している。特に、「導入および構築サービス」の国内売上が前年比14.7%減となったことについては、ディスクアレイ製品の大幅な売上低下の影響を受けたと分析している。
またIDCは、2008年までは不況の中でも底堅い推移を見せていた「保守サービス」も、顧客の運用コスト削減の姿勢が非常に厳しくなったことで、契約延長の際の値上げが難しいケースが増えたと指摘。このような厳しい状況で例外的に成長したサービスとしては、「データ移行サービス」を挙げることができるとしている。ユーザーの保有データの増加、無停止での移行作業への要求などが、データ移行サービスの促進要因となっているというのがIDCの見解だ。
今後については、サーバをはじめとするITインフラの仮想化テクノロジの発展がユーザー企業のストレージインフラ再構築を促し、長期に渡ってストレージサービス需要を生み出すとIDCは予測している。また、クラウドに対する注目は、現実的な取り組みへと変わっていき、プライベートクラウドの構築は、ストレージ専門技術者によるプロフェッショナルサービスの需要を拡大させるだろうとの見込みを示した。
IDC Japan ストレージシステムズ リサーチマネージャーの鈴木康介氏は、「2009年の国内ストレージサービス市場が減収となった背景には、システム更改や統合プロジェクトの凍結や延期が少なからずあり、サービス提供の機会そのものが減ったことが影響した。しかし、ストレージ構築、統合、増設の案件減少は一時的な傾向だ。今後はストレージ運用の効率化のみならず、仮想化技術を利用したインフラ統合の大規模化、ビジネスのリアルタイム性強化など、ストレージサービスの提供機会が増える要因は多い」とコメントしている。