仕事力に差がつく大人になってからの「勉強法」--10の心得 - (page 2)

富永恭子(ロビンソン)

2010-08-24 12:00

#3:「ベストセラー」より「ロングセラー」

 これは、多くの人たちが異口同音で言うことでもあるから、確かに効果的なのだろう。勉強のための本選びに迷ったら、「ベストセラー」より「ロングセラー」を選ぶ。しかも、たくさん読むことだという。

 ロングセラーは、多くの人たちによってふるいにかけられ、結果として時間を超えて支持され生き残ってきたものであり、根本的な概論を示す「普遍的良書」ということでもある。これをより多く取り込むことで、自分の基礎力を増強できるというわけだ。

 また、ロングセラーの本の中でも、優れた書き手とされる人の代表作を一通り押さえるのも効果的だ。書き手の思考をまるごと盗むくらいの心構えで読んでやろう。読みつづけていけば、やがて読んだ本の内容が繋がっていく。自分の中に情報のネットワークが生まれることによって、知識はさらに深まっていくはずだ。

#4:集中と分散でメリハリをつける

 例えば「アイデアに詰まる」といった状態とは、集中しすぎて「脳が揺らがなくなっている状態」だという。同様に「勉強」も続けていくうちにのめり込みすぎて煮詰まることがある。そんなときは、「脳が揺らいでいる状態」にすることが必要になる。脳が揺らいでいる状態は気が散っている状態に近いという。つまり意識が分散している状態だ。この集中と分散の間を「振り子」のように行き来することによってメリハリをつけることで、学習効率がアップする。

 また、睡眠は勉強にとってとても重要だ。睡眠不足は「記憶の定着」にひびくという。コンピュータでは、情報集めとハードディスクへの保存がほぼ同時に行える。しかし、どうやら脳はそれができないようだ。脳の場合、「まず集めておいて、あとで保存する」というプロセスを交互に行う。この「あとで保存する」時間というのが、意識の覚醒レベルが低い睡眠中だという。

 しかも睡眠は、ただ、記憶を定着させるだけではなく、「こなれた記憶」に「消化」する役割も果たすというのだ。人間の記憶というものは、そのままでは意味がなく、一度「消化」しないとダメらしい。長時間ぶっ続けや徹夜での勉強に、思うほどの効果はないようだ。

#5:重要な情報源として人の力を借りる

 自分ひとりで思いつくことには限界がある。勉強も然りで、ひとりで黙々と続けていると、ときに成果が見えないまま、勉強のための勉強を続ける「タコツボ」にはまった状態になってしまう。

 知識を自分のものにするためには、重要な情報源として周囲の人々の力を借りるべきだ。そのためには、あえて自分の思考を未完成な状態で周囲にリリースしてみるといい。ときには、否定的な反応や意見も返ってくるだろう。しかし、ヘコタレてはいけない。学んだことについて周囲と意見を交換することで、さらに理解が深まったり、次の目標が見えたりもする。

 本当に価値のある情報はメディアでは見つからない。会社に埋没せずに外で人脈を作ることもさらに広く情報を収集する意味で重要だ。

 個人的には、1つのアイデアを最低3人に話すことで、それは磨かれて自分のものになると考えている。しかも、話している途中で新しいアイデアが見つかるという、予想外のメリットが享受できることもしばしばある。

#6:尊敬できる人の言葉は「結論」より「思考プロセス」に注目する

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