武田薬品工業は、富士通と共同で、合成実験の計画や結果を電子的に記録し、ナレッジとして共有、活用する国内最大規模の電子実験ノートシステムを構築した。現在、化合物の合成実験を行う武田薬品の合成研究部門において運用を開始しているという。
同電子ノートシステムは、富士通が米CambridgeSoftの電子実験ノートシステム「E-Notebook Enterprise」をベースに、完全電子化運用に対応する機能などを追加開発したもの。武田薬品では、電子実験ノートシステム導入のメリットである研究業務の効率化、精度向上、コスト削減、特許係争や環境対応の強化などを目的に、合成研究部門における実験ノートの運用を完全に電子化することに踏み切ったという。
これにより、従来、研究者が紙に記入していた実験計画や結果は、各自のPCから同システムに入力され、膨大なデータがナレッジとして蓄積されるとする。研究者は、構造式やキーワードから関連する情報を検索、参照できるため、新薬の候補物質となる化合物の構造式などの詳細な実験データを各自の研究に応用することが容易になる。また、過去に行われた類似する実験結果を事前に把握することで、重複する実験を削減し、コストを抑えることができるとしている。このシステムにより、合成研究部門全体として、創薬研究の高度化と効率化を図るという。
富士通では、システム開発に加え、24時間365日の無停止運用を実現するための可用性、信頼性を重視したインフラ基盤の構築や、システム利用にあたっての定着化支援など、設計、開発から運用段階までをトータルに支援したという。